外国人労働者をめぐる動き

カテゴリー:外国人労働者

マレーシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:2007年3月

1.「外国人労働者法案」提出で、人的資源相と内相の対立生じる

「外国人労働者法案」に関して、人的資源省と内務省が論争を繰り広げている。フォン・チャオン人的資源相は、来月の「外国人労働者に関する内閣委員会」に提出される法案に反対する意向を示した。これは、ラジ・シェイカ内相が、「国会提出前に内閣の承認を得るための準備をしている」と表明したことについての発言であった。内相は、外国人労働者の犯罪を減らすため、雇用者に労働者の行動の把握を義務付ける法案を提出する計画を明らかにしている。

フォン・チャオン人的資源相は、国内及び外国の労働者を規制する労働法はすでに十分存在しており、更なる法の制定の余地はないとしている。マレーシアには、現在、国内外の労働者を規制・保護するための22の法律があり、「1,040万人の国内労働者と180万人の外国人労働者を管理するのに十分な法規がある」と述べた。

当法案によれば、政府は、雇用主と外国人労働者の指紋採取を行い、外国人労働者をより一層監視できるとしている。同法案に対しては、人権擁護団体が反対したほか、各方面から異議が唱えられている。

人的資源相のイスマイル・アブドゥル・ラヒム労働局長は、フォン・チャオン人的資源相を支持しながら、「我々は、法案に反対である。外国人労働者の雇用を管理し、雇用者が労働と雇用に係る国の方針を守るための法は十分にある」、「今重要なことは、不法入国と違法雇用を阻止するため、外国人の入国に焦点をあてた法をもつことである」と述べた。

また労使両団体においては、MTUC(マレーシア労働組合会議)のラジャスカラン事務局長が、外国人労働者の問題は、内務省よりも人的資源省が扱うのが適切だとの見解を示し、反対している。MEF(マレーシア経営者連盟)は、外国人労働者の監督責任を使用者に負わせる「外国人労働者法案」の準備を内務省が進めていることに警戒感を強めている。

2.外国人労働者雇用における新たな仲介業者の承認を凍結

外国人労働者を募集する仲介業者の許可状(免許)が凍結された。一時的な凍結により、内務省は、2005年に開始された当制度の調整を行う。

アセ・チェ・マットゥ内務省大臣は、多くの申請書が提出されているが新たな許可状は、問題が解決するまで発行されないだろうと、述べた。現在まで、212社が外国人労働者導入のための許可を受けている。このうち143社が業務を開始しており、国内の様々な産業に3万1,493人の外国人労働者を供給した。

MTUC(マレーシア労働組合会議)のラジャセカラン書記長は、多くの会社に外国人労働者の導入と企業への供給業務に関する許可を与えるという政府の決定について以前より危惧を表していた。「彼らは外国人労働者で市場を氾濫させているだけでなく、制度を乱用している」とし、また「外国人労働者による本国への送金は経済に非常に大きな影響及ぼしている」と指摘、「従って国内に富を留めるためにより多くの国内労働者を雇うべきだ」と述べた。

人的資源相のイスマイル・アブドゥル・ラヒム労働局長は、労働者供給の承認を受けたアウトソーシング会社を監視しており、「国内労働者を削減したり、低賃金の外国人労働者を雇うために希望退職を促したりしている産業があるということは分かっている」と話している。

人的資源省は、「国内労働者を優先して雇用するべきであるが、どうしても空きが埋まらない場合についてのみ、当省の承認を得た後外国人労働者の雇用を認める」としている。

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