労働組合、外国人労働者規制緩和に反対

カテゴリー:外国人労働者労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年10月

労働組合は、政府に対して、台湾で増えつづける外国人労働者の削減要求を行っているが、7月6日、政府が外国人ブルーカラー労働者の採用制限を緩和した場合、又は外国人労働者の最低賃金を変更した場合には、責任者の辞職を求めると警告を発した。

政府は、台湾人ビジネスマンを台湾に引き戻すための奨励措置して、外国人労働者の賃金への最低賃金適応の撤廃と、外国人労働者の入国に対するその他の制約の緩和を提案したが、これに対して、全国産業総工会(TCTU)、台湾労工陣線(TLF)、新事社会サービスセンター(社会サービスセンター)は、立法院で記者会見を開き、外国人労働者の最低賃金改訂への反対を表明した。現在、外国人労働者の最低月給は、1万5840NTドル(483米ドル)であり、台湾の労働基準法に基づく台湾人労働者と同一である。

記者会見のなかで、ある地方労働組織の幹部は、月給制から時給制又は週給制に移行するという李應元労工委員会(CLA)主委(委員長)の提案を批判している。また、TLFの孫友聯秘書長(書記長)は、李主委が持続可能な経済発展に関する全国会議に先立つパネルディスカッションで表明した見解について、「いくつかの経済団体の首脳が外国人労働者の給与を労働基準法で定める最低賃金条項から切り離すことを要求した後は、労働者への給与は月単位ではなく、時間単位又は週単位で支払うべきだ。」と主張している。さらに、「もはや台湾の雇用者は、外国人労働者を採用する場合、「最低賃金」制約に従わなくてもよい。」とも強調している。孫秘書長は、李主委の見解は、「月給」の精神を歪めるだけではなく、「法定有給休暇」の精神が損なわれかねないことから、労働者、権利、利害に深刻な犠牲を強いる可能性があるとも語っている。

さらに、孫秘書長は、労工委員会(CLA)主委に対して、まもなく開催される経済発展会議を控えて、経済団体におもねることなく、労働者の権利と利害を保護するよう要求した。

他方、中華全国産業協会は、危険な重労働を行う十分な労働者を見つけることは、特に建設プロジェクトで困難であり、労働規制を緩和すべきだと主張している。これに対して、「孫秘書長は、外国人労働者に関する政策では、外国人労働者数を合理的水準に制限すべきであり、台湾人労働者を見つけることができない場合以外、入国を認めるべきではない。」と地元メディアで述べている。孫秘書長はまた、台湾の外国人労働者は全て台湾人労働者と同様に扱われ、法の保護を受けるべきだと主張している。

さらに、謝創智TCTU秘書長も、「労働者の入国数増加に反対しており、これ以上入国者を増加させた場合、社会問題と文化的紛争が増加する可能性がある。」と地元メディアを通じ主張している。

謝秘書長は、「外国人労働者に対する最低賃金制約を撤廃した場合、台湾人労働者のみが法定最低賃金法で保護されることになり、外国人労働者に対する差別となる。」とも語っている。制限撤廃は、台湾人労働者の権利に悪影響があるという主張である。さらに、謝秘書長は、「外国人労働者を採用するほうが安上がりとなることから、多くの台湾人ブルーカラー労働者が職や就職の機会を失う可能性がある。」と指摘する。

孫秘書長は、政府に対して、台湾人労働者を保護するため、外国人労働者の新規入国者数を直ちに制限し、外国人入国者数を徐々に削減することを提案している。孫秘書長は、「雇用者側の提案は労働者の権利を損なうものでしかないから、政府はいかなる提案も採用すべきではない。」と語った。

労組側のこのような主張に対して、行政院労工委員会(CLA)では、外国人労働者の入国数拡大の検討は行わないが、建設作業で必要な労働者を十分に確保するための新たな方法の検討は行うとしている。しかし、台湾メディアによると、李應元CLA主委は7月19日の台湾有名企業の重役が集まる第三水曜クラブの月例会合でのスピーチで、「台湾が2006年末までに地元企業で夜勤を行う外国人労働者の受け入れに同意する可能性がある。」と語っている。

CLA主委によれば、開放策は企業の生産設備増強意欲を向上させ、台湾労働者が通常嫌がる夜間勤務に就く外国人労働者の採用を認めるものでなければならないというスタンスである。

ちなみに台湾の雇用の現状は、CLA統計によると、2006年3月31日時点で失業者数は40万2000人、失業率は3.84%、外国人労働者数は33万3477人である。

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