外国人労働者のための新たな政策

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年10月

違法就労取締りのため取組み

行政院労工委員会(CLA)では、台湾の違法外国人労働者や、違法労働者を雇用する国内雇用者の摘発に協力する情報提供者に対する報奨金の増額を計画していることを、最近、発表した。

CLAによると、報奨金の最大額は、1事例につき5万NTドル(約1528USドル)であり、事例の性質、重大性に応じて決定される。CLAが行方不明となった外国人労働者の追跡のための報奨金の増額調整を行うのは、今年4月以来2回目である。行方不明の違法外国人労働者発見につながる情報に対しては5000NTドル、雇用者および外国人労働者の不法行為を通報した情報提供者には2000NTドル(約61USドル)が支給される。

行方不明となった違法労働者は、警察に発見される事例が最近増加しており、工場から失踪する外国人労働者の比率は4月以降低下している。

CLAは、政府が違法労働者と国内雇用者による違法雇用を摘発しやすくするため、報奨金の再増額を検討していると説明している。CLAの統計によれば、現在、台湾にいる外国人労働者は約33万人、外国人労働者を雇用して入る企業は約15万社である。

現在CLAは、違法外国人労働者の発見に有益な情報を提供した個人に対する報奨金として、年間約1200万NTドル(約36万6636USドル)を支出している。

外国人介護労働者割り当ての引き下げ

CLAによると、最近増加の著しい外国人介護労働者の削減に向け、政府は実現可能な手段を検討中であるということである。CLA統計によると、台湾の外国人労働者は、6月末時点33万6900人で、2006年に入ってから3万6000人増加している。CLAは、この増加の原因は、主に外国人介護労働者の急増によるものだとしており、今年前半に雇用制度の改正が実施されて以来、外国人介護労働者の数は、2万3400人増加していると指摘する。

CLAでは、外国人介護労働者の雇用を抑制し、台湾の外国人介護労働者数を徐々に削減するための総合的対策の策定に向けて、行政院衛生署、内政部等の関連省庁と協議を行うこととしており、また、8月末までには十分な対策が発表される予定である。

年初に外国人介護労働者の採用制度の変更が実施されて以来、市、郡当局では、台湾人介護労働者の雇用促進を積極的に推進しているが、政府のインセンティブが不十分なことや、台湾人介護労働者の賃金がはるかに高額であること等の要因から、外国人介護労働者に対するニーズが依然として高いことが指摘されている。

現在台湾で就労している外国人労働者33万6000人強のうち、介護労働者は約13万人であり、製造業、建設業で働く外国人労働者は16万人から17万人となっている。

CLAのねらいは、外国人介護労働者の削減が、将来期待どおり実現した場合、むしろ製造業でいわゆる「汚い」「危険」「苦労」の3Kとみなされている職種に外国人労働者を追加割り当てするのではないかと指摘する意見もある。

外国人介護労働者に対する管理の厳格化

CLAの説明によると、2006年8月から、外国人介護労働者に対する職業配置規則を厳格化し、違反者には3万NTドル(約920USドル)から15万NTドル(約4601USドル)の罰金を科すことにあるという。さらに、8月1日からは雇用者が雇用する外国人介護労働者を、長期介護センターや慢性疾患の患者を対象とする病棟の被介護者の付き添いに派遣することは禁止される。

CLAの職種配置規則により、外国人労働者は、(1)家事労働者、(2)製造業労働者、(3)建設業労働者、(4)家庭介護労働者の4種類に分類される。従来、外国人介護労働者には、その雇用者が職業配置計画を事前にCLAに申告すれば、専門のケアセンターで被介護者に付き添う資格が認められていた。しかし、こうした外国人労働者の所定外労働の増加を目の当たりにしたCLAは、8月1日以降、このような職業配置を禁止することを決定している。外国人介護労働者については、慢性疾病患者用病棟での患者への付き添いも禁止される。現在では、被介護者への付き添いが可能なのは、救急病室または一般病棟のみとなっている。この新職業配置規則に違反した雇用者には、最高15万NTドル(約4575USドル)の罰金が科される。外国人介護労働者に関する職業派遣規則の強化は、新採用制度が年初に施行されて以降大幅に増加した外国人介護者採用を抑制しようとするCLAの取り組みの一環と見られている。

外国人労働者の管理が免許制に

外国人労働管理規則の改正作業が現在進められているが、同規則によると外国人労働者の管理を担当する者は、一定の基準を満たす必要がある。改正規則の下では、外国人労働者の管理を担当する者は、職業免許の取得が必要となる。雇用者が管理スタッフの採用に際してこの規則に従わない場合、または管理スタッフが一定の条件を満たしていない場合、雇用者は、通知を受けた後、状況の改善を実施しない限り、外国人労働者採用許可を取り消されることになる。

CLAが外国人労働者管理規則の改正に取り組み始めたのは、2005年8月に、高雄市の大量高速輸送(MRT)システムの建設に従事していたタイ人労働者の暴動が発生したのを受けてのことである。この暴動のきっかけは、MRTシステムの建設を行う高雄高速交通(高雄捷運)から委託を受けた人材管理会社の過酷な扱いであった。

CLAのチームが暴動の原因調査に派遣され、タイ人労働者の寮が過密状態であり、トイレ、食堂、管理スタッフは標準以下のものであることが判明した。

改正規則によれば、雇用者は、外国人労働者の採用後、地元労働当局に通知し、管理状態の検査を受けることが義務付けられ、これにより、労働当局も外国人労働者の管理に寄与することとなる。

参考レート

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