台湾労働政策への国民の評価
新労働年金制度への移行状況
7月の調査結果によれば、台湾企業の95%以上が新労働年金法(LPA)に基づいて事業を実施している。また、オンライン就職情報会社の1111人力銀行が実施した調査では、新年金制度にそって事業を運営している企業は、95.07%であったのに対して、新制度を部分的にのみ適用している企業は4.35%であった。
新制度では、雇用者は、被用者の月給の最低6%を被用者の年金口座に預託する必要があり、被用者は、転職時にもこの口座を保持することができる。旧制度では、被用者が年金を受給できるのは、同一企業に連続25年間勤務した場合、または、55歳に達して同一企業に連続15年間勤務した場合であった。また、旧制度では、被用者は年金を一時金として受け取っていたが、新制度では退職者は終身で毎月の年金を受給する資格がある。現在、台湾では、被用者の大部分は、新制度を選択しており、旧制度を選択する被用者は一部である。
調査結果によれば、新労働年金制度に合わせて被用者の給与体系の変更を行った台湾の雇用者は13%であったのに対して、86%の雇用者は変更をまだ行っていない。
さらに同調査によれば、自社の被用者が新制度を選択することを望むとした雇用者は、47.25%であったのに対して、被用者自身が旧制度の継続を希望したと回答した雇用者は、わずか3.19%であった。全体の43.77%の企業は、新旧制度の選択についての判断はケースバイケースで行うとしている。
1111人力銀行のスポークスマンによれば、雇用者が新年金制度によるコスト増を相殺するために、被用者の給与を引き下げたり、あるいは、被用者と新たな労働契約を締結した場合、労働基準法に違反する可能性があるという。
労働政策
民進党(DPP)の労働政策に対する国民の不満が高まっているということが、台湾団結連盟(TSU)が8月21日に発表した調査結果から明らかになっている。地元メディアによると、この調査は8月14日から17日までの期間で、労働組合、労働運動組織100団体を対象に実施され、回収されたもので有効回答は43件であった。
今回の結果は、TSUが、2000年の政権発足以来のDPPの労働政策に関する国民の意識調査によるものである。同調査でDPP政権が労働政策に関して獲得したスコアは、60ポイントの合格点に届かず41.19ポイントに留まった。TSUは、与党DPPの属する緑軍の一つに分類されている。
回答者の大部分は、2000年以降、労働者の権利の大幅な改善はなかったと感じており、回答者の91%が、DPP政権における労働者の権利の進展に不満を表明している。具体的には、台湾の労働組合は強化されていないと回答する者が93%、労働年金制度事業は、社会正義に適っていないと考える回答者が70%、現在の失業給付金は、失業者やその家族の経済的な必要性を満たしていないとした回答者が84%となっている。
さらに、同調査で明らかになったことは、回答者の93%が、政府の外国人労働者政策に不満をもっており、回答者の70%は、政府が外国人労働者の人権を重視しているとは考えていないということである。
台湾の労働組合、労働運動組織は、大統領の在任中にDPP政権が、失業の削減や中高年労働者の雇用促進に優先的に取り組むことを希望していることも同調査から明らかになっている。
2006年10月 台湾の記事一覧
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- 労働組合、外国人労働者規制緩和に反対
- 台湾労働政策への国民の評価
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