深刻化するホワイトカラー労働者への給与不払い
労働集約型産業での出稼ぎ農民工への給与不払いが社会問題となり、労働監察制度など法整備を急速に進める中国であるが、外資系企業の中級、高級ホワイトカラー層の間にも、「給与不払い」が起きていることが、近年労働争議頻発の事実から明らかになっている。
2004年、上海市で発生した「外国人従業員」の労働争議案件は労働報酬をめぐるものが全体の7割を占めていた。外国人従業員は、正統な処遇を求め、法廷でも争いを辞さない。
給与支払いを求める外国人従業員は、主に生産の第一線で活躍するエンジニア、市場総監といった高級販売人員、中高級管理職が多数を占める。不払いの内容は具体的には、給与、出張旅費、福地待遇等の費用で、不払い期間は数カ月から半年の間で最長では1年を超えるものもある。不払いの原因は、企業収益の悪化や閉鎖、営業停止などによるものがそのほとんどである。しかし、これが争議にまで発展する背景は、「外国人従業員」と企業との間で締結される『労働契約』が職場のみを掲載し、給与金額を記載していない場合が多いことが指摘される。企業の中には、コストを抑える目的で税額を少なくするため、故意に給与金額を曖昧にしているところがあるという。
労働部門の統計によると、上海市が対外的に解放されるにつれ、同市の「外国人従業員」の数も急速に増加している。2004年上海市に受理された雇用団体からの外国人労働手続き申請は、延べ6万5459件で、前年比で51.8%増加している。このうち、外国人による新規就業証明申請は、2003年に1万人を超えたことを皮切りに、2004年には1万5573人と40.2%増加している。ちなみに出身国は、112カ国に及び、日本、アメリカ、韓国が上位3カ国である。
今年の年末に向け、給与不払いを受ける外国人従業員の数は、益々増加することが懸念される。
また、外国人従業員にかぎらず、販売業を中心に80%以上の従業員が給与、ボーナスの受け取り不能の現実に直面することも懸念される。彼らの多くは、「就職恐慌」がいわれるなかで仕事にようやく就くことができた者たちで、労働契約を締結せず口約束で悪条件でも職についている現実がある。口約束を反故にされた場合には、法的効力に訴える文書証拠を持たず泣き寝入りの状況に追い込まれる恐れがある。
広州の人材仲介機構責任者は、労働力市場が供給過多にある現在、制度や意識が未成熟である中にあってホライトカラーも民間労働者も、書面による法的効力を有する契約を締結することで、自己の権利を守るという意識を持つことが最も重要であると忠言する。
2005年8月 中国の記事一覧
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