政府が雇用対策を盛り込んだ2005年補正予算を発表

政府は、4月14日、2005年の補正予算を含む経済財政政策を発表した。また、同時に発表された経済見通しでは、2005年の経済成長率を3.2%、2006年を2.7%と予測している。顕在失業率は2005年が5.0%、2006年は4.4%と予想する。失業率の水準は依然として高く、今回の経済財政政策では雇用対策に重点が置かれた。補正予算には2005年秋までに2万2600人以上に対して仕事や職業訓練を提供するための雇用対策を盛り込んだ。

長期失業者対策には、10億スウェーデン・クローナ(SEK)の予算が割り当てられ、長期失業者を雇い入れる使用者は賃金の85%に相当する税優遇措置を受けることができる。この政策により2005年には約1万人の雇用が創出され、そのうち1500人分は環境分野のプロジェクトによって生み出される。政策は2006年も継続され、約1万人の雇用創出を見込んでいる。

障害者雇用対策には、2005年で7000万SEKの予算を計上し、障害者を雇い入れた場合の補助金の上限を月額1万3700SEKから1万5200SEKに引き上げる。

職業紹介サービスの改善には、サバティカル休暇制度の取得枠の拡大(2000人分)、企業の必要性に応じた職業紹介サービスの改善など、数多くの施策を講じる。

高等職業訓練に関しては、2005年秋から、新たに受け入れ枠を1000人分増設する。この政策のために、2005年4500万SEK、2006年9000万SEK、2007年4500万SEKの予算を計上した。また、労働力不足の職業の雇用対策として、労働市場政策の職業訓練制度枠を2000人分拡大する。

若年の長期失業者対策としては、国民高等学校に500人を受け入れるために3000万SEKの予算を割り当てる。

移民対策では、外国の大学卒業資格を有する移民に対し、スウェーデンの大学で1年間の補完的コースを受講できるよう、年間1000万SEKの予算を措置する(2005年と2006年)。

教員の能力向上対策として、地方政府と共同で特別プロジェクトを実施する。当初は、職業教育を担当する教員を対象に、2005年秋500人、2006年春500人に対して研修が行われる。また、成人教育に関しては、地方自治体の生涯教育コースに対する支援が継続される。

労働組合、使用者や野党の政治家は、政府の政策を批判している。スウェーデン労働組合総同盟(LO)は、労働市場政策にさらに多くの予算を投入するべきであると主張する。使用者と野党は、伝統的な人材育成策は時代遅れであり、対策は税制、福祉、規制、労働法などの構造改革や新規起業支援に向けられるべきであるとしている。

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