2005年2月の失業率10.1%
―失業者の増加傾向が続く中、政府の公約実現は困難に

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2005年5月

2005年1月に、失業率が10%を超えたフランス。その後も、失業者の増加傾向は続いている。政府は、社会統合法(注1)関連施策の実施等を急ぐことを決定したが、「2005年の失業者数を1割程度減少させ、年末までに失業率を9%台まで下げる」という政府の公約は、実現が難しくなってきた。

雇用省が、2005年3月31日に発表した雇用統計によると、同年2月の失業率(ILOの規定による)は、10.1%(季節調整済み)であった。失業者数は、同年1月の増加(0.7ポイント)に続き、2月も0.5ポイント(12800人)増加している。失業率を男女別でみると、男性は、9.2%、女性は11.2%。失業者数では、25歳以下の若者の失業者数が2004年2月と比べ、3.0%増加した。

こうした状況を受け、ラファラン首相は、2005年3月31日、雇用関係の閣僚を首相官邸に集め、対応を協議。その結果、社会統合計画の実施を急ぐこと、特に、「将来契約」(注2)など再就職につながる雇用契約締結の促進が決定された。

ボルロー雇用相は、同日、「2005年中に失業者数を1割程減少させ、失業率を8%台に下げる」というラファラン首相の公約は、「おそらく不可能である」との認識を表明した。同大臣は、「失業者数は、今年半ばまで僅かに増え続ける。その後、社会統合計画の効果が出て、失業率は低下に転じる」との考えを示した。

ラファラン首相は、2004年11月、製造業の生産高が高い伸び率を示していることや、当初の予測を上回る2004年の経済成長率などを理由に、失業者減少の公約を発表。楽観的すぎるという周囲からの批判に対し、「社会統合計画の実施などで、雇用が拡大し、失業者数は減少する」と常に反論してきた。失業率が10%の大台に乗った2005年1月以降も、公約に変化がないことを強調していた。

しかし、失業者数の減少傾向が見られない状況のなか、同首相は、4月10日、ニース・マタン誌のインタビューに対し、この公約の実現が難しいことを認めた。そして、「失業率を2005年末までに8%台にまで下げるという目標は維持するものの、実現は数カ月遅れることになるだろう」と述べた。その理由として、原油価格の高止まりがフランス経済及び雇用に与える影響を挙げ、「公約の発表以来、フランス経済を含む世界経済は新たなオイルショックの影響を受けている」との認識を示した。

失業者数減少の見通しを変えずに、社会統合法関連施策の実施などを急ぐフランス。経済情勢も厳しさを見せるなか、その効果が注目される。

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