公務員の労働協約改定交渉

カテゴリー:雇用・失業問題労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2005年12月

オランダの国家機関や教育機関で働く100万人の職員に適用される2005~2006年の労働協約改定交渉が、コスト削減と業績向上の圧力のもとで行われた。2005年の削減額の4分の3は、職員の削減によって達成される。財務大臣は、現在の削減ペースを続けていくと、2007年までに1万9149人の公務員が削減され(このうちの1万人が国家公務員)、合計10億ユーロ以上の予算が節約できると発表した。しかし、各省庁の事業運営を損なうことなく削減できる人数には限りがあるため、実際はこの筋書き通りにはならないと見られている。

2003年には1万5000人であった公務員や教員の早期引退が、2004年は9月末までに2万人に達した。早期退職者は、年金制度を上回る追加手当を受け取った。早期退職制度の将来に関する不確実性が、職員を現行制度による利益の享受に導いている側面がある。これは、内閣がめざしたものと全く逆の結果であるが、自発的な削減効果をもたらした。オランダ経済研究財団(SEO)は、長く働く労働者に早期退職する同僚よりもより高い年金が支払われるような、財政的インセンティブを与えることを奨励している。

中央政府や教育分野で働く約100万人の公務員の中央団体交渉は、2005年8月末に終結した。早期退職に関する数多くの重要な取り決めがなされ、公務員の早期退職年齢は、62歳3カ月に引き上げられた。65歳を超えて働く者には、より高い年金が支給される。2005年に、公務員は収入の7.8%を早期退職制度に拠出した。新しい合意に基づく条件では、2006年に保険料が6.5%となる。引き下げられる1.3%のうち0.8%が生涯休暇制度に、0.5%が賃上げに振り向けられる。この取り決めは、将来の年金資金は、労働者自身の拠出によって賄う原則を作り出した。現在の配賦制度は、保険料に基づき、現役労働者が早期退職者の年金を支払っている。新しい制度は、高齢労働者と若年労働者の負担の間に、より良い均衡をもたらすとされている。早期退職の割増手当は減額され、生涯年金制度の保険料が導入される。

政府は、協約には、(1)保険料の引き下げにより、労働条件や給与を改善する余地が生まれる(2)早期退職制度から生涯休暇制度のような個人の選択による制度への移行を促進する(3)将来制度を利用する若い世代の負担を軽減する――などの重要な改善点が含まれていると説明する。公務員の高齢化が非常に進展しているため、若い世代にとってより魅力的な労働条件を整備することが、政府の重要な課題となっている。SEOの調査によると、現在の労働力の少なくとも3分の1が、同じ時間給で週当たり労働時間を増やすことができると回答しているのは、政府にとっては朗報である。中長期的には、政府が民間部門と競争することができるかどうかが問題であり、政府は委託した様々な調査の結果を待っているところである。

出所

  • 欧州労使関係観測所オンライン(EIRO)

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