2つの主要な使用者団体が同盟を結成

カテゴリー:労使関係

オランダの記事一覧

  • 国別労働トピック:2005年12月

オランダで最も重要な2つの使用者団体である、オランダ産業経営者連盟(VNO-NCW)とオランダ中小企業連盟(MKBオランダ)が同盟を結成することとなった。第3の使用者団体のオランダ農業園芸連盟(LTOオランダ)は、当面同盟の枠外に留まる模様である。同盟側は、会員の統合と協力関係の強化が、すべての会員に費用面で利益を与えるとしている。双方が代表を出している社会経済審議会(SER)や労働財団のような組織での連携強化を通じた、より効率的で効果的なロビー活動もまた想定される。2004年秋の政府、労働組合との協議が不調に終わったのは、使用者団体の立場が分かれたことに起因する。VNO-NCWは早期退職制度や生涯休暇制度において費用の削減を推進する政府の提案を支持し、MKBオランダは、費用の削減方法に反対する点で労働組合と立場を同じくしていた。

VNO-NCWは中小企業部門の会員も有しているが、主に大規模企業やシェル、アクゾ社(Akzo)のような多国籍企業の会員を組織している。MKBオランダは、中小企業に特化しており、135の商業協会と250の地方企業協会が加盟し、全体で18万6000の企業団体を組織している。2つの使用者団体の会員は重なり合っており、建設や装置産業などではしばしば二重会員となっている例がある。その他の産業の企業は、どちらか一方の団体に加盟し、特に政治分野において強力で明確なロビー活動を期待している。MKBオランダは大企業とは全く異なる挑戦に直面している小規模企業の代弁者として行動している。このため、今回の同盟は、MKBオランダの会員に、彼らの利害が無視されるのではないかという危惧の念を抱かせた。

労働組合連盟は、意見を留保するかまたは複雑な反応を示した。労組にとっては、使用者団体がもはやお互いに反目しあうことはないという点に戦略的重要性がある。オランダ労働組合連盟(FNV)は、成り行きを興味深く見守っている。オランダキリスト教労働者全国連盟(CNV)は同盟の規模に驚きを示したが、使用者の意見が1つになることによる利益を認めている。ホワイトカラー系労組(MHP)は、同盟が規模の経済性をめざすものであることに理解を示した。MHPの会長は、中小企業が多国籍企業に飲み込まれてはならないとして、新たな同盟における中小企業の利益に関心を表明した。

出所

2005年12月 オランダの記事一覧

関連情報