外国人労働者の処遇政策と労働者年金基金の監督機関設立の方向
―労工委員会の新主任委員が表明

カテゴリー:高齢者雇用外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2005年11月

長い間人権擁護運動家で与党民主進歩党(DPP)の長老政治家であった陳楚氏は、高雄捷運プロジェクトの虐待と劣悪な労働・生活条件に抗議して8月21日に起きたタイ人労働者の暴動の政治的責任を取って辞任した。その後任として、9月19日からCLAの主任委員を行政院(官房)秘書長である李應元氏が院長から任命により着任した。

李氏は52歳。米国ノースカロライナ大学で医療経済学の博士号を取得し、与党(DPP)議員、ワシントンD.C.の台湾米国代表団の副代表、行政院秘書長を務め、2005年2月再び行政院秘書長に就任した。また、李氏は2002年末の台北市長選挙では大敗を帰している。

地元通信社とのインタビューで、李主任委員は、国内労働者と外国人労働者両方の権利と利益を保護するために最善を尽くすことを約束した。李氏は、(1)緊急かつ最優先の政策事項は、外国人労働者に関する政策の徹底した見直しと改善、(2)退職労働者年金基金の監視と管理を担当する機関を設立する法案を立法院に認めさせること――の2点であると語った。

彼はタイ人労働者の暴動を人権関連問題であると共に「個別的ケース」であると述べ、外国人労働者の質とタイプ、外国人労働者雇用仲介制度、外国人労働者の雇用や管理の条件を含め台湾における外国人労働者政策をCLAが総合的に見直すことを約束した。

在宅介護などのサービスで雇用される外国人労働者の数は増加しているため、CLAは、この傾向が国内労働者の雇用機会に影響を及ぼしているかどうかも検討することを約束した。さらに、 CLA は、外国人労働者の雇用、管理、生活条件を規制する特別条項を就業サービス法に加えるように強く求める。外国人労働者の管理と生活状況・労働条件の整備を適切に実施しない雇用者は将来刑事訴訟を受ける可能性がある。

外国人労働者の賃金を1984年に導入された労働基準法で定められている基準賃金と切り離す可能性についても李主任委員は質問を受け、この問題は今後争点になる可能性があると指摘している。さらに、台湾の外国人労働者の利益を保護する手段として基準賃金を用いることは国民的合意であり、これを切り離すことは非常に難しいと回答している。同氏は、外国人労働者への福祉支援のあり方、外国人労働者が実際に受けている法的保護の性質と賃金の額が主な争点であると述べている。また、外国人労働者の雇用プロセスおよび生活条件の監督を限られた数の監督官で実施する実効性を高めるため、CLA諸機関の労働関連組織の区分を見直すとも述べた。

昨年新たに法的に規定され設置された退職労働者基金については、基金積立額がまもなく100億新台湾ドルに達することから、同氏はこの基金の良好な運営を促進するメカニズムを作ることが重要であるとの見解も表明している。そして、労働者年金基金の運営を監督する機関の設立を許可する法案の通過を促進するためまもなく野党と協議することになるであろうと述べている。

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