若年者就業促進プログラム「展翼(Spread the Wings)」

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2005年11月

台湾の全体的な失業率と労働参加率は、この5年間それぞれ4.5~5.0%と60%あたりの水準で推移している。これに対して、若年成人の失業率は10 %を超える高水準で、特に2001年以降、大卒の若年成人の労働参加率は約30%という最低率が続いている。21~25歳の若い世代の雇用状況は他の世代よりも悪く、就業服務法の適用となる先住民、障害者、生活支援世帯者、家事を負担する女性、工場閉鎖や事業停止の被雇用者、中高齢者と同様である。

このような状況を深刻に受け止めている労工委員会職業訓練局(BEVT)は、若年成年が、興味を持てる仕事を見つけることができ、自分の力強いエネルギーと賢明さで大空を飛ぶ野生の鳥のように能力や潜在力を伸ばすことができるようにとの意味合いを込めて「展翼(Spread the Wings)」と呼ばれる若年者向け雇用促進プログラムを積極的に推進してきた。このプログラムは、若い労働者、特に学卒者と失業中の青年のために新しい仕事を開拓し、また、若者による台湾のレクリエーション活動の質の向上の強化への寄与を目的とするものである。具体的には、ロック・クライミング、急流の筏下り、バンジー・ジャンプ、レクリエーション事業分野でのツアーガイドなどの知識・技能を提供し、関連する訓練の探求と個人的経験を通して雇用に向け若年成人を育成するものである。

BEVTは、若年成人の革新性、活発なエネルギー、遊び好きな部分を適切に育むことで、レクリエーション産業の活性化が図れるのではないかと考えている。レクリエーション産業の仕事は、地域密着型が多いことが特徴である。そのなかで、いかに若い才能を活かすかということがレクリエーション産業を活性化させる最大の起爆剤となると考えられている。

このプログラムの応募資格は、学生や雇用者の身分でない18歳から26歳の青年と規定されており、男性は兵役を終えていなければならない。

「展翼」プログラムは、2003年にBEVT がプログラムをスタートして以来、2年間で50社以上の企業と協力し、理論、実技練習、実習課目の300時間の訓練を実践してきた。訓練後、訓練生は補充テスト(replacement tests)を通してカウンセリングを受ける。また、100人以上の若年成人がこのプログラムを通してレクリエーション活動のガイドの仕事に就いている。その中には、「総統墾丁健康クラブ」や非営利団体である「白波財団」に雇用され、レクリエーション活動のインストラクターになった者もいる。

現在、このプログラムを終了した訓練生の雇用率は70%に達し、その内50%以上がレクリエーション産業で働いている。

台湾では、若年成人の雇用を促進支援する政府機関として「青年輔導委員会」とCLAの2組織がある。政府はこの2つの機構を近い将来管理改革プログラムの下でひとつにまとめる方針である。しかし、大学の新卒者と対象とするNYCに対して、就業服務法により15歳以上で働く能力と意志のある者すべての若者を対象として、特に学校を卒業した失業中の若年成人の就業促進を方針として重要視しているCLAをどのように統合し、若年者の就業促進策を展開していくかが今後の課題である。

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