銀行改革と銀行労働者

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2005年11月

国営台湾中小企業銀行(TBB)の数千人の従業員が、9月8日、全国的規模の銀行業では歴史的な抗議のために台北本店と台湾の北部、中部、南部のさまざまなTBB支店の周囲に集まり、政府の同行民営化計画に反対して無期限ストを開始した。労働者たちは「合併反対、侵害反対」などと叫んだ。地元メディアの報道によると、これによって動揺した顧客がストライキ行動を知らなかった支店に押しかけた。

台湾には48の銀行があるが、マーケットシェアが1割を超えるものはなく、政府が台湾の銀行資産の50%から60%をコントロールしている。これまで政府は、合併・買収の促進を通して、これらの資産をさらに民間の手に渡し、地方の有力なプレーヤーを生み出すことに熱心であった。

こうしたなか、資産規模が台湾で第9位、資産の40%以上を政府が所有する台湾中小企業銀行を第二次金融改革の対象として、政府は銀行部門の民営化と合併を促すための政府計画の一環として、金融監督委員会に対して9月9日にTBB株式の公開入札を開催するように命じた。

第二次金融改革は、国際的競争力があり、台湾の将来の経済成長に刺激を与えることができ、戦略的発展を続けている産業である金融機関をターゲットとして2004年10月に発表されたものである。

しかし、 TBB 銀行の労働者は、政府がシンジケートにへつらい、TBBの従業員保護を行っていると考えている。その結果、9月15日に、TBBの取得に興味を持っていた投資家が同行の労働組合からのさらなる要請を受けて入札から撤退し、TBB売却の取引は失敗した。地元報道によると、9月15日の売却交渉の間、この取引に抗議して4日間ストライキをしていたTBB労働組合が新たな要求をした。この労働者からの要求については報道されていないが、銀行と労働組合の意見の不一致は、早期退職プログラムに集中していたということである。

今回の改革の失敗は政府にとって大きな失望である。他の銀行の民営化が難航することが予想され、今後の合併・買収に重大な影響を及ぼすものと思われる。政府が今後TBBの買取主を探し続けるかどうか、どのように銀行数を削減してゆこうと計画して行くのか、一般市民も注目している。

しかし、財務省は、台湾合作金庫銀行(Taiwan Cooperative Bank)と中国農民銀行(Farmers Bank of China)を合併し、台湾中央信託局(Central Trust of China)のさまざまな部門を切り離して異なる買収者に売却するという政府の計画は順調だと述べた。

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