労働市場改革法の具体化

カテゴリー:労働法・働くルール人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2004年5月

労働市場改革法を進水させるための措置が着々と進行している。

ロベルト・マローニ労働社会政策大臣は、昨年12月23日に、就業関連業者に関する名簿の作成、登録に関する許可手続および既存の法律(1997年6月24日法律196号〔就業促進に関する規定〕)との調整規定に関して、2003年9月10日委任立法276号〔就業および労働市場に関する委任の実施〕の措置を会計院に送付した。会計院による審査を受けた後で、同措置は官報に掲載される予定である。就業関連業者に関する名簿は、労働社会政策省の職業指導、教育訓練および就業総局が管轄する。同名簿は、業者が属するカテゴリーごとに、次の5部に分かれている。

  1. 2003年委任立法276号20条に挙げられた活動の全てを行う資格のある「一般的な」性質の労働供給、
  2. 同20条の活動の1つを遂行する「特別」労働供給、
  3. 仲介、
  4. 人材の探索および選抜、そして、
  5. 再就職支援

である。新業者により同名簿への登録申請がなされると、2003年委任立法276号5条の定める資産要件などを審査して、登録の可否が決定される。登録申請を行った業者は、同時に、業務遂行のための暫定的許可申請を行わなければならない。このため、業者は、適切な職業技術上の組織を供えていること、ならびに、活動拠点および職員について明示した「分析文書」を準備する必要がある。業務開始から2年が経つと、業者は、確定的な許可を申請することができる。この確定的許可は、過去2年の間に業者が遂行した活動の実績を評価した後、労働社会政策省総局が90日以内に与える。確定的許可のための評価は、「厳密に量的観点から、許可の対象となる活動が、24ヶ月間に遂行された業者の活動の50.1%以上を占めること」を示した「分析報告書」に基づいて行われる。さらに、2年ごとに同様の評価が実施される。社会保険料を納付しなかったり、労働協約を守らなかった場合などには、許可が取り消される。さらに、改善要請から60日以内に改善措置がとられなければ、名簿登録も削除される。

一方、2003年委任立法276号30号で定められた出向についても、2004年1月15日通達3/04号が出された。出向を人員削減を回避するための社会的緩衝措置としていた従来の制度(1993年法律236号8条)と異なり、今回の措置により制度の柔軟性が増し、新たな就業の機会が創出されると期待されている。同通達は、出向制度の利用について、出向の臨時性、出向が出向元企業の利益となること(出向期間中利益が存在し続けることが必要)、そして、労働者の合意を要件としている。出向の臨時性については、決定的・最終的なものでないことが要求されるが、期間の長短は問わないし、期間があらかじめ定められている必要もない。したがって、出向元企業に出向の利益が存在する間はずっと、従業員を別の企業に出向させておくことができる。出向元企業の利益は、当該企業の生産に関わる利益なら何でも良いが、50㎞以上の異動を伴う場合には、技術、生産、組織または代替的な必要性が立証されたときに限り出向が可能である。出向元企業は、出向させられた労働者に代わり、期間の定めのない契約で別の労働者を雇用することができる。

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