労組、人材派遣の労働者の福利厚生の向上を政府に要求
近年の人材派遣業の増加に伴い、派遣労働者の権利の保護が問題となっている。2003年11月24日の夜半、約1000人の労働者らが、雇用のアウトソーシングの禁止と労働者の保護を求め、労働省周辺をデモ行進した。
人材派遣に対する需要の増加
1997年の経済危機以後、柔軟的な雇用(従業員の人数調整を容易にするため)への需要が高まり、80年代後半の経済成長時にも増加した人材派遣業が再び脚光を浴びることになった。また、地方の出稼ぎ労働者らが派遣業者に登録し、短期的な雇用に従事しているという例もある(詳細は2003年11月タイ海外労働情報、「海外労働時報」2002年10月号を参照)。
要求の内容
今回のデモ行進は、民主労働組合(Democratic Labor Unions)の連盟組織が中心となり行われた。ソムソス組合代表は、現在労働のアウトソーシングが増加している背景には企業のコスト削減意識が大きく影響しており、現行の労働法が不十分なために派遣労働者の権利が守られていないことを訴えた。
デモ行進は2003年10月にバンコクで開催されたAPEC首脳会議の際に提出された労働者の権利を守るための請願書を補完するものだという。
具体的には、1.児童出産手当の引き上げ、2.失業者が社会保障基金へ支払う192バーツの負担金の引き下げ、3.県別の賃金委員会の解散、4.最低賃金、全国一率200バーツ制の導入、5.雇用におけるアウトソーシングの禁止、の5点を請願書として提出したという。
ウライワン労相は、すでに1.の児童出産手当を6000バーツ支給することには合意しているが、ソムソス代表は、この額が現実的でないと主張している。出産費用の平均は約1万バーツ程度で、多くの女性が出産のためにローンを組んだり、借金をしたりしている現実を理解してほしいと、さらなる引き上げを求めている。
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