短期契約労働者の急増に対し労組が警告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年10月

近年の不況による短期契約雇用の増加に対して、労組側から労働者の権利を剥奪しているとの注目が集まっている。

短期契約雇用が様々な分野で広がる

タイ自動車労働者連盟のウィスット・ルアングリット氏は、繊維・縫製業、石油産業、プラスチック製造業、自動車産業などで短期契約の労働者が急激に増加していることを指摘した。特に同氏の所属する自動車産業では、工場従業員の40~60%が短期契約で雇われているという。

1998年に制定された労働者保護法では、使用者は従業員を120日以内であれば試用期間として雇用でき、社会保障に関する負担を免除される。そのため、単純労働者であれば正社員を新たに採用するよりは、120日以内の短期契約で雇う傾向が強くなっている。

また、使用者の中には試用期間として雇う間に成果が見られれば正社員として再雇用すると約束しておきながら、再び4ヶ月以内の契約をさせるケースもあるという。

タイ研究基金のソムサック・プライユウォング研究員は、「多くの単純労働者はこの雇用形態に苦しんでいる。私が調査した下着工場では、多くの農村出身の教育程度の低い労働者達が、非常に低い賃金で何の社会保障手当てもなく働かされていた」との現状を語っている。

短期契約社員の多くは、日給の最低賃金ベースで労働に従事しており、バンコクのある工場の場合、1日165バーツで働き、1日仕事を休むと200バーツの減額というような悪質なところもあるという。また、このような現状に不満を漏らした労働者は、契約の再更新を行わない、または解雇すると脅されたりするケースが多いということだ。

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