最低賃金の引き上げと各産業の昇給率の動き:好調な経済状況を反映

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  • 国別労働トピック:2004年2月

2004年1月1日付の新法定最低賃金が決定した。国家賃金委員会が2003年11月26日に発表したところによると、引き上げ額は1~5バーツ(注1)で、1都47県で実施される。民間企業の昇給率も5%程度と、経済危機後のタイ経済の順調な回復が賃金にも反映された形となった。

最高額はバンコクの170バーツ

タイにおいては、最低賃金は各県の賃金委員会で決定される。この委員会は政労使の三者構成からなり、国家賃金委員会が定める基準値を下回らないかぎりにおいては、独自の賃金額を策定することができる。各県の原案は、閣議での承認を経て正式な決定となる。

今回最大の引き上げとなったのはサムット・ソンクラン県の138バーツ(5バーツの引き上げ)で、次いでサケオ県(137バーツ)となっている。最低賃金が最も高い地域は170バーツ(1日当たり)で、バンコク首都圏、ナコンパトム、サムットプラカン、パトゥンタニ、ノンタブリの各県(いずれも1バーツの引き上げ)、最も低い地域は133バーツで、北部・東北部に集中している。チェンライ、パヤオ、スリン、マハサラカム、メーホンソン、ヤソトン、ウボンラチャタニ、プレー、ナンの各県(いずれも据え置き)となっている。

日系企業も多く駐在する中部・東部の工業団地地帯は、2003年に5バーツ程度の大幅な引き上げをすでに行っているため、今回は2~3バーツ程度の引き上げにとどまった。

民間の昇給率も順調な伸び

アメリカ系人材コンサルタントのヒューイット・アソシエイツの2003年下半期の給与動向調査によると、民間企業の昇給率は平均で5.2~5.6%と高い数字を示している。これは、アジア地域においては中国、フィリピンに続いて第3位の高さとなった。

また、タイに駐在する日系企業1167社を対象にして盤谷日本人商工会議所(JCC)が行った2003年度賃金労務実態調査報告書によると、製造業・非製造業を合わせた平均賃上げ率は4.0~4.9%で、業績が好調な部門は、自動車関連、金属・部品、貿易となっている。

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