EU司法裁判所、集団解雇に関して組合等は「使用者」との判断

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10月16日、EU司法裁判所は、イタリアの法律が、集団解雇における労働者保護の強化を目的としたEC指令に「部分的に矛盾している」とし、EC指令98/59号の射程は、組合、財団、協会、政党および他の非営利団体の従業員にも及ぶと判断した。

EU司法裁判所によると、1991年7月23日法律223号(給与補填基金、労働移動、失業手当、EC指令の実施および職業訓練に関する規制)は、もっぱら企業(すなわち、事業経営者と評価しうる経済的主体)による集団解雇にのみ適用されると解される。事実、イタリアの法律では、営利目的を追求しない、人、組織または公的および私的団体は、事業経営者の概念に含まれないため、企業としての性質を持たないと考えられている(民法典2082条)。

これは、EC指令98/59号を完全に適用する際の障害となる。このため、EU委員会は、「指令98/59号は、使用者の概念になんらの区別も設けていないため、営利目的を追求するか否かにかかわらず、すべての使用者に適用される。指令が、適用除外に関して明文規定を置いていることを考えると、EU加盟国は、本指令で用いられている文言、本件では『使用者』という文言に関して、制限的な解釈をし、適用範囲を制限することはできない」と主張し、イタリアにおける指令98/59号の受容法が、「多数の従業員を抱え、大きな経済的重要性を享受しているにもかかわらず、その活動内容として営利目的を追求しない全使用者について、例外を設けている」として、EU司法裁判所に訴えていたのである。

こうした「使用者」のなかには、組合、財団、政党および協会が含まれる。司法裁判所は、集団解雇に関するイタリアの法律が、Coldiretti(自営農に関する全国同盟)やConfcommercio(商業・旅行業・サービス業・中小企業の全国同盟)のように、営利目的を持たない組織の従属労働者に対して具体的に適用されない場合について一連の異議申し立てがあることも考慮した、と強調した。そのうえで、EU委員会の主張を認め、イタリアに対し、「使用者」の文言が、活動内容として営利目的を追求しない者に対しても適用されるように求めたのである。裁判所は、「指令1条による定義がある結果として、本条は、『使用者』の行う集団解雇に適用され、これ以外の制限はない。したがって、本条は、すべての使用者に関係する。これに反する解釈は、本指令の趣旨目的にも反する」と説明している。

今回の判決を受けて、2002年共同体法20条は、同法の施行日(2002年2月22日)から1年以内に、1991年法律223号を修正するよう政府に委任した。

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