(香港特別行政区)PCCW、下請け計画で1600人リストラ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年1月

香港の最有力企業の一つパシフィック・センチュリー・サイバー・ワークス(PCCW)は2002年9月2日、新たに設立する下請け会社を受け皿にして従業員をリストラする計画を発表して、応募を募っていたが、10月になって、当初同社が予測した応募人数1000人を大きく上回る1600人がこのリストラ計画に応募した。

PCCWは、2000年にシンガポールの有力国有会社との競争に勝って、通信部門の独立企業ケーブル&ワイアレス香港テレコムを合併して、1万4500人を擁する大企業になったが、リチャード・リー社長は、合併当初は同社の人員削減を否定していた。しかしその後、何回かのリストラで従業員を1万3000人にまで削減し、今回さらにリストラ計画に新機軸を打ち出した。

計画によると、PCCWの屋外設備管理、電話交換配線、ブロードバンド・サービス、公衆電話サービス等の業務を担当する従業員が、6週間以内に新規に17の独立した下請け会社を設立して、これらの会社に移転し、下請け会社に上記業務が外部委託され、委託期間として3年間が保証される。下請け会社設立当初の1年目は、PCCWが営業計画のアドヴァイス等も含めて全面的に協力するが、2年目以降は各下請け会社の自主性が重視され、PCCWからの援助も減少する。応募する従業員の賃金は平均してPCCW在職時の80%になり、PCCWが見積もる応募者約1000人を前提にすると、PCCWの技術者の平均賃金を2万ドルと算定して、PCCWは昨年の人件費総額46億ドルの約5.2%に当たる2億4000万ドルを節減できることになる。また、応募しない従業員は解雇はされないが、再訓練を行ったうえで配置転換されることになっている。

その後、PCCWの社内労組から、下請け会社の賃金はPCCW在職時の60%?75%になり、80%を獲得できるのは3つか4つの下請け会社だけだろうと懸念の声が上がったが、10月28日の発表で、応募者は総従業員の約11%に当たる1591人で、これはリストラ対象業務に従事する従業員の97%にあたっていた。だがこのような予測を大きく上回る応募者数について、PCCW総従業員組合のチェン・チュン・マン委員長は、20%の賃金カットは積極的な選択ではなく、他に選択肢がなかった結果だと述べている。

他方、証券アナリスト等の専門筋はこの動きを歓迎し、PCCWのやり方は過剰人員をリストラするかなり革新的な手法で、会社にとって有益だとしている。

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