(香港特別行政区)失業率、2期連続で低下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年1月

景気の低迷と相俟って上昇の一途をたどった香港の失業率は、2002年8月には2000年10?12月期以来20カ月振に低下したが、2002年10月21日発表の労働市場統計によると、7~9月期の失業率はさらに低下し、失業率は2期連続で低下を記録した。

統計によると、失業率は5?7月期には統計発表が開始されてから最悪の7.8%に達したが、前期の6?8月期の失業率は0.2ポイント低下して7.6%になり、今期の7~9月期はさらに0.2ポイント低下して7.4%になった。失業者数は26万7000人で、前期の27万4000人から7000人減少した。不完全雇用率は、前期と同じで2.9%だった。また、雇用者数は、8月の323万3000人から9月は324万3000人に増加した。

雇用状況が好転したのは、飲食、不動産、輸出入、装飾・管理等の諸部門であるが、一部エコノミストは、特に中国本土に対する輸出の好調に支えられて、輸出部門の業績が第3四半期に回復し、それが雇用の回復にもつながったとし、また、今後の香港の景気・労働市場は米国経済の回復状況に依存するとしている。また2期連続の失業率の低下については、フランス・ルイ香港科学技術大学教授のように、エコノミストの中には、雇用状況の改善には、失業率の悪化によって企業の提供する低い賃金でも就業する者が増加したことが一定限度で働いているとする者もある。

もっとも、個人の破産件数はさらに増加して最悪記録を更新しており、専門筋の一部はこのことを指摘して、失業率が僅かに改善したことが今後の順調な雇用の回復につながることを必ずしも意味しないと、楽観を戒めている。9月の破産者数は2580人で、前年同月比で約3倍増えており、1月から9月までの総破産者数は1万9949人で前年同期比で90%増加している。

またアントニー・リョン財務長官は、米国のイラク攻撃が長引いて原油の高騰が香港経済に影響することをかねてから警戒しているが、このようなイラクを巡る状況や国際的なテロ活動による不透明さから、輸出部門の好転にもかかわらず、景気・労働市場の将来を予測することは困難であるとしている。

他方、労働側では、職工会連盟(CTU)のラウ・チン・シェク委員長が、労働上の保護のない自営業者や暫定的な被雇用者が増えており、政府が推進する雇用救済策でも暫定的な雇用に止っているから、労働者を巡る状況は改善されていないと主張し、政府はもっと長期的で安定した雇用の創出に努めるべきだとしている。

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