法定労働時間は35時間に定められるが、時間外労働枠は増やされる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年10月

これはシラク陣営の大統領選挙キャンペーンの中心テーマの1つだった。労働時間短縮に対するMEDEFの批判に応え、大統領は「自ら望む労働者はもっと働いて多くを稼げるようにする必要がある」と述べていた。したがって、ラファラン首相が定めた綱領の中に週35時間制法の改正が掲げられていても驚くべきことではない。首相は、「法定労働時間を問題にすることはないが、弾力化は必要だ」と述べ、「労働時間を改正するために採られた独断的な方法は労働者の購買力の上昇にブレーキをかけ、多くの経済的な現実を無視することになった」と批判した。

だが、首相は「法律」もしくは「規則」を導入する前に、この改革方法の検討を「必要な労使協議」に委ねている。12月の労働審判官選挙の前になるのか後になるのか、いかなる日程も具体的には決まっていないが、論議を呼んでいるいくつかの側面について、政府は迅速に取り組む姿勢を鮮明にしている。

その1つは前述したSMICの問題だが、週35時間制改革の中心は時間外労働枠の緩和に置かれている。現在130時間の割当枠が180時間-業種によっては200時間-に拡大される可能性がある。これは12万8200企業の870万人の労働者が恩恵を受けている週35時間制という「象徴的」な措置に傷をつけることなく、週39時間制へ復帰する隠れた方法とも言えそうだ。割当枠拡大の可能性は道路輸送などのいくつかのカテゴリーですでに存在しており、2004年まで猶予が与えられた従業員20人未満の中小企業には認められている。

当面、その方法に関してはいかなるコンセンサスも生まれていない。状況が多様なので、誰も法律改正を主張しないとしても、それに我慢できない者たちが規制改正の道を勧めるかもしれない。中小企業総連盟(CGPME)のルボー副会長は、「近日中に、130時間の時間外労働枠を180-200時間へ拡大する」デクレの制定を望んでいる。

労働側には、「結局のところ、週35時間制は全員に適用される前に見直されることになる」との懸念が根強くある。それだけMEDEFの強力な圧力を感じているようだ。

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