MEDEFが社会保障制度復帰に3つの条件

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年10月

7月15日、社会保障を担当するマッテイ保健相の招待を受けて会見したMEDEFのケスレール氏は、本題にはいる前に、1時間以上もの間、「産業界が持っている社会保障への懐疑の歴史」を講義したという。前身の全国使用者連盟(CNPF)のときにジャン・ルイ・ジラル会長が全国医療保険金庫(CNAM)で行ったボイコット戦術から、2001年10月にMEDEFがすべての労使運営機関から離脱したときまでの歴史だ。説明は、独立性が求められている分野への国の容認しがたい越権行為とMEDEFが考えている内容について「具体的な例」を交えて行ったという。とりわけ問題にされたのが、当局による各金庫の理事の任命だった。

その後で、本来の目的である「MEDEFが各医療保険金庫の理事会へ復帰するための条件」を明らかにした。ケスレール氏が条件として挙げたのは、週35時間制のために行われている「社会保障機関」からの資金調達の中止、「新管理機構」の設置、そして内容の詳細は示されなかったが医療保険の「改革」だ。

ケスレール氏によると、「これまでのところ社会保障改革のために示されているのはMEDEFが2001年11月20日にストラスブールで提示したプランだけだ」という。これは「社会保障」へ競争原理の導入を求める提案だった。ケスレール氏は、「もしもこの3点で大きな前進があれば、我々はもはやボイコットする理由はない」と言明した。

一方で、民営化への言及は見られなかった。これは保健相に対する配慮だったのだろうか。マッテイ保健相は野党時代の自由民主党の議員だったときにこのプランに反対していなかったが、入閣後は、民営化を問題外だと断言しているからだ。保健相は12日のル・モンド紙とのインタビューの中で、「国有化も民営化もない。社会保障はみんなの共通の財産である」と語っていた。

しかし、「収支の均衡を維持する必要がある」として、医療支出の抑制については強調された。これは、数日前に、医師への信頼に基づく新しいアプローチを開始するために、収支の均衡を断念すると発表した保健相への牽制だったかもしれない。2人は、戦後、社会保障の労使共同運営方式が重要な役割を果たしてきたとの同じ見方で一致した。ところが、実施するべき改革に関しては、意見の一致を見なかった。保健相は、MEDEFの参加の有無に関わらず、社会保障を近代化する必要があると考えている。意思決定に参加させるために、理事会に利用者の代表を加えたいというのが保健相の希望だ。一方、MEDEFは政府の役割を、基本医療手当の払い戻しを保障させるだけに限定させたいと考えている。

7月1日に、民間部門と公共部門の競争を扱った報告書「新しいゲームの規則のための複数のプレイヤー」が発表されたが、MEDEFはこの中で、「商業経済といわゆる『社会』経済との間の区別の撤廃」を提唱している。「需要の支払い能力を重視し、受給選択の自由を市民に与えるべきだ」というのが報告書の主張である。

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