日本の投資家にアピール

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

インドネシアの投資環境は悪化した-国際協力銀行(JBIC)が調査した「経済危機以前の1996年と比較して投資環境はどう変化したか」というテーマの報告書により、このような結果が浮かび上がってきた。

日本の投資家もインドネシア投資に対して消極的傾向か

対インドネシアの最大の投資国である日本の同国への投資が、対中国や対タイと比べて大きく減少している。急速な投資環境の改善が見られない場合には、ベトナムやインドにも遅れをとる可能性もあるという、結果が国際協力銀行(JBIC)の報告書によって明らかとなった。

2001年の日本の海外直接投資先は、1位が中国、2位にアメリカ、3位にタイ、4位がインドネシアとなっている。この順位も経済危機前の1997年の調査によると、インドネシアはタイより上位の3位につけていた。

また、日本の製造業分野における729の企業の回答のなかには、5位と6位にランクしているベトナムとインドは、10年以内にインドネシアを追い越すかもしれないとの声さえあったという。

さらにJBICは日本からインドネシアへの借款の仲介機関であり、同国に合計3兆6000億円(27億米ドル)の政府借款を行ってきた。JBICの鏑木上級エコノミストは、「中国やタイといった国々はその投資環境を急速に改善させてきたという背景から、日本の主な投資先として選ばれている。他のアジア諸国もインドネシア以外の国々は、環境改善に向けて変化しつつあるように思う」と危機感を表した。

同行の櫨山ジャカルタ駐在員事務所長は、現地紙ジャカルタポスト氏でのインタビューで、日本の投資家が抱いているインドネシアに対する負のイメージを払拭することは非常に困難ではあるが、まだ潜在的な市場能力を秘めていると語り、政府の明確な投資方針や投資環境の改善を求めた。

一方、インドネシア商工会議所(KADIN)と経団連が4月5日に行った会議に於いても、経団連は「日本の企業は、インドネシアに対して、よりよい治安と一貫した投資政策を最も必要としている」と語り、ハムザ副大統領との会談の席でも、日系企業からの批判をまとめた報告書を同副大臣に提出した。

更に、日本貿易振興会(JETRO)が4月に発表した企業動向指数によると、在インドネシアの日系企業は前年7月と比べて1.8ポイントアップの-0.8で、多少景気の回復基調が見られた。他にも在タイ日系企業は8.6ポイントアップの4.7、在マレーシアが22.4ポイントアップの-17.4、在シンガポールが16.1ポイントアップの?14.2と、各国共に改善の兆しを見せている。

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