労働法の柔軟化で組合団体分裂
いわゆる労働法の柔軟化は、「法律よりも交渉で」というフランシスコ・ドルネーリ労働相のスローガンにより端的に示され、13月分賃金(年末ボーナス)の12カ月分割支払、労働者の企業利益参加方式、休暇の供与方式、昼食時間の短縮、出産における父親の休暇などを法律の強制下ではなく、組合と企業の交渉にゆだねようと言うものである。
昨年始め、労相が国会の労働委員会で証言した所によると、この法案は、労働者の権利を制約するものではなく、硬直化した労働法の規定を柔軟化して、早くも、2001年に、2万人から3万人の雇用を造出しようとするものであると言う。法案は、2001年11月に下院で票決にかけられたが、第1回の投票で、票決装置がなぜか故障を起こし、1週間後に、ようやく可決された。現在、法案は、上院に、緊急法案の扱いで送られているが、与党の一部、PFL(自由戦線党)が、自党のロゼアーナ・サルネイ大統領候補の関連企業に連邦警察の捜査の手が入り、その結果、人気が失墜したことに怒り、反政府に回った所から、投票は、来年になる見込みである。
この法案に左翼の組合団体CUT(唯一労働中枢)は、真っ向から反対の態度をとり、3月22日、サン・パウロ、サン・パウロ近郊の工業地区ABC3市を始め、全国でデモ更新その他の示威運動を行った。
そのため、各所で交通渋滞がはなはだしく、中でも、サン・パウロのクンビッカ国際空港は、空港へ通じる唯一の自動車道路を組合が占拠したため、旅客はもちろん、パイロット、スチュワーデスが乗り込めずに、国際便を含む15便が大幅に遅延した。
CUTの全国会長のジョン・フェリシオは、全国20万人が、3200都市でデモに参加したと、この運動の成果を誇り、ゼネストによる法案の通過阻止の可能性をちらつかせている。
これに反して、もうひとつの有力組合団体である「組合の力」の会長パウロ・ペレイニ・ダ・シルバと事務局長ジョン・カルロス・ゴンサルベスは、同日午後、傘下の組合を代表して、「雨傘協定」と称する協定を経営者組合と締結し、統一労働法の改正があっても、法律の規定に交渉が優先すること、労働組合の総会の承認がなければ、直ちに新法の規定を実施することはないと言う確約を取り付けた。
この調印に立ち会った自動車部品工業の組合代表であるドラウゼオ・ランジェルは、「統一労働法は、労働者の最後のとりでで、マラニョン、パラ、トカンチンス(いずれもブラジルの後進地域)などでは、これがなければ、労働者は奴隷の境遇に陥る外はないが、南部では、組合が協力であり、補佐も充分であるので、法の変更が労働者の権利を脅かすおそれはない」と語っている。
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