景気低迷が給料調整を阻止

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

ブラジルの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年6月

2001年は4月まで経済は高い成長を達成できる予想であったものが、6月からの節電義務実施によって急に悲観予想に変わり、さらに米国に対する同時多発テロ事件発生に端を発した国際情勢の混乱によって国内経済の成長は完全に止まり、労働者のベア期待も失われた。DIEESEが2001年にベアに関して労使交渉を行なった全国529単組を調査したところ、上半期に労使協約を結んだ労組の72,2%は公式インフレ指数(内国消費者物価指数)並み、あるいはこれを上回る調整を受け、給料の目減りを回避している。

これが下半期に入ると46,5%に下がって、53,5%の労働者は実質目減りを起こしている。例年なら下半期のほうがベア補充率は大きくなる。労使交渉の結果は1996の調査開始以来の最悪となっている。ブラジル地理統計資料院(IBGE)の発表でも2002年1月にサンパウロ首都圏就労者の平均収入は前年同期比で10%低下し13カ月連続低下となった。12月の前年同期比はマイナス2.8%であるから、収入低下は加速したことになる。資料院の調査分析担当者は、企業が合理化を図る手段として人員整理、労働力ローテイション、超過勤務削減など、あらゆる手段を動員して、就労者の収入を下げているために、収入の回復は2002年中には難しく、当分以前の水準には戻らないと見ている。

2002年6月 ブラジルの記事一覧

関連情報