ロッキード・マーティン社でスト

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年6月

ロッキード・マーティン社ジョージア州マリエッタ工場の機械工が2002年3月11日、ストを開始し、空軍に納入する超音速戦闘機F-22を予定通りに生産できない可能性がでてきた。同工場の従業員約6700人のうち、国際機械工労組(IAM)に加盟している約2700人の機械工がストに入った主な理由は、同社が示した最近の協約案に、より安価な納入業者に仕事を外部委託することを妨げる条項がなく、医療保障も不十分と考えられたためである。ロッキード社の最近の協約案には、今後3年間に10%の賃上げ、協約締結時の1000ドルの一時金、年金プランの条件改善が含まれている。

この工場でストが起きるのは25年ぶりで、同社にとって不都合な時期に起きた。F-22の生産が遅れれば生産費用が増加するが、F-22は高価であることが、議会でしばしば議論され、防衛予算から支払われる生産コストに上限が定められ、製造日程も厳しく設定されているからである。

IAMローカル709の代表者によると、政府の防衛予算が減額された過去10年間に防衛産業の再編、規模縮小が生じ、マリエッタでは既に多くの仕事が失われ、90年には同ローカル加盟者数は1万4000人であったが現在では2764人に過ぎない。そのため、今回の協約に雇用保障を求める組合員が多く、3月10日に行われた投票で、ローカル709の組合員の約78%が同社の協約に反対、82%がストに賛成した。同工場の組合員の平均年収は4万8000ドル(残業手当を除く)である。

やはり3月10日頃、同社のウエストバージニア州クラークスバーグ近郊の航空機組立工場では68人の従業員のうちIAM組合員の57人がピケを張り、実質上、生産ラインを止めた。またミシシッピ州メリダンの同社工場では、3月11日に約12人の従業員が職場放棄をした。この工場では、既に組合員が新協約を受け入れたが、マリエッタ工場の2700人の組合員を支持してストをしている。

4月17日現在、これら3工場のストは継続しており、連邦調停局(FMCS)が争議調整にあたっている。

労組と年金基金が取締役の再選に反対運動

いくつかの大規模労組と年金基金が、長年、ロッキード・マーティン社の取締役を務めているフランク・サベッジ氏の再選に反対するよう呼びかけている。同氏は、エンロン社の取締役でもあったことから、エンロン社を大規模な経営破綻に導いた責任者の一人と考えられている。

数十の労組の年金基金運用を行っているニューヨークの機関投資家、アマルガメーティド銀行が2002年3月22日、4月25日に行われるロッキード・マーティン社の年次株主総会でサベッジ氏再選に否認票を投じるよう呼びかけを始めた。アマルガメーティド銀行は、ロッキード・マーティン社株を15万株保有している。63歳のサベッジ氏は、再選されることを期待しており、ロッキード・マーティン社スポークスマンもこれまでの同氏の功績を指摘し、再選を望んでいるとしている。

アマルガメーティド銀行のサベッジ氏再選拒否キャンペーンは、年金基金と労組から支持されている。カリフォルニア州公務員年金基金は同基金が持つ160万株を否認票とすると発表、同様に77万6927株の同社株を保有するオハイオ州公務員年金基金も否認票を投じるとしている。さらに、IAMは、ロッキード・マーティン社に雇用されている2万人の組合員が、同社が発行した4億4644万9541株の約5%を保有していると推定しており、組合員に否認票を投じるように要請する。アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)は、他の機関投資家にも再選拒否を呼びかける予定である。ただし、4月25日に同氏再選を拒否するだけの支持を得ることは困難であると見られている。

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