農村部労働者職業訓練改善についてのセミナー

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年3月

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)によると毎年約170万人が生産年齢に達しているが、その中で職に就くことができるのは100万人に過ぎない。若年労働者の失業率は全国平均の約3倍に達している。また青年同盟の報告によれば、農村部若年者の9割が職業訓練コースに参加したことがない。比較的設備が整った職業訓練施設は大都市に多い。しかし大都市においても、職業訓練を終えた後の仕事の紹介が十分に行われていないといった問題が指摘されている(2001年本誌9月号参照)。農村部では、求人情報と職業訓練機会がさらに不足しており、失業問題克服を妨げている。農村部における効果的な職業訓練のあり方を議論するために、青年同盟と国際労働機関(ILO)が2001年末にセミナーを開き、労働問題専門家や使用者が参加した。

ハノイで若年者対象の職業訓練・職業紹介センターを運営しているグエン・フォン・ドン氏は、訓練や職業紹介を必要としている労働者の多くが農村部に住んでいるのに、現在、訓練施設の大部分が大都市を始めとする都市部に集中していることが問題であるとした。さらに同氏は、大部分の農村部の若者が交通費や居住費を支払えないので都市部で職業訓練を受けようとしない点に注意を喚起し、「移動職業訓練」の実施を提案したところ多くのセミナー参加者の賛同を得た。移動職業訓練では、労働需要が多い、衣服・製靴・電子産業で要求される技能を集中的に養成する。3カ月~6カ月おきに、訓練設備を積んだ車が地域から地域へと移動することになる。多くの経営者も、このアイデアに興味を示し、訓練コースへの協力と修了者全員の雇用を申し出た企業もあった。

企業経営者から、インターネットのホームページ上で全国の求人情報を掲げる案も出されたが、ソン・ホン職業訓練センター長のチュウ・バン・ミン氏は、コンピュータを所有する若者は少数で、コンピュータの数は訓練センターでも不足しているほどなので、費用がかかり過ぎると述べ、むしろ技能フェスティバルや雇用創出をもたらす貸付などをより活発に行うべきだとした。

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