(香港特別行政区)失業率5.5%に上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

人口統計局が2001年11月9日に発表した統計によると、香港の8~10月期の失業率は5.5%で、前期比でさらに0.2ポイント上昇し、7月に失業率が上昇に転じて以来4期連続の上昇となった。また、失業者数は19万4000人で、前期比で8400人増加し、2000年2月以来の19万人の大台突破となった。

正規雇用者が需要の低下で労働時間の減少を余儀なくされている不完全雇用率は、8~10月期は2.6%で、前期比で0.1ポイントの上昇となった。また、雇用者数は同じ時期に32万人(暫定値)で、前期比で1万人減少した。

失業はほとんどすべての分野で悪化したが、特に打撃を受けたのは製造業、建設業、流通業、運送業、サービス業の諸分野だった。

人口統計局の発表前は、労働側や学界から失業率は5.6~5.7%に達すると予測されており、結果はこれよりは僅かに良い数字となったが、今後の見通しについては厳しい見方が相次いでいる。

アントニー・ルン財務長官は、短期的には向こう数カ月間、失業者数はさらに増大するとの見方を示した。同長官はまた、アフガニスタンの戦争と米国がテロとの戦いで持つ自信は、正確に予測することが困難な不確定要因で、これらの要因に依存している以上、今後の経済状況の予測は困難だとしている。

ハンセン銀行のヴィンセント・クワン主任エコノミストは、失業率が今回予測を下回ったのは、夏に学校を卒業した人のうちで、求職者数がごく僅かだったからだとしており、今回の特徴は求職者数はほとんど変わらなかったのに、求人数が減少したことだと述べている。

リンナン大学の公共政策研究センター所長のホ・ロク・サン教授は、旧正月後にはレストランの閉鎖により、失業率が少なくとも0.2ポイントほど上昇する傾向を過去の経験が示しており、2002年も失業率は上昇すると述べている。同教授はまた、対外的要因が漸次好転すれば、失業率は2002年の初めに6.5%ほどのピークに達して、その後下降に転ずる可能性もあるとしている。

このような厳しい状況下で、職工会連盟(CTU)のエリザベス・タン事務局長は11月19日、組合代表20人とともに、政府に対して失業の悪化を緩和するために早期に雇用を創出するようにと強く訴えた。

ちなみに、ルン財務長官は11月20日、董建華長官が、先の施政方針演説にもられた3万2000人の雇用創出を含めて(本誌2002年1月号第1記事参照)、早期に雇用創出措置を取る強い指示を出していることを明らかにした。

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