MBA取得者の需要増と賃金水準の上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

近年、中国の大学は相次いでMBA大学院を設立し、国産MBAが増加している。WTO加盟後はMBA取得者の需要も拡大すると見込まれている。

現在、中国では、MBAコースを開設した大学は54校もあるが、各大学のMBAコースに対する市場評価には大きな格差がある。清華大学、北京大学、復旦大学および上海大学などのMBA卒業生は、比較的に人気はあるが、その他多くの大学のMBA卒業生就職状況はそれほど良くない。2001年2月と3月号の『学位と院生教育』誌が発表した国内大学MBAランキングによれば、トップ10のMBAコースは、(1)清華大学経済管理学院、(2)東北財経大学MBA教育センター、(3)南開大学国際商学院、(4)復旦大学管理学院、(5)北京大学光華管理学院、(6)アモイ大学管理学院、(7)華中科学技術大学管理学院、(8)中国人民大学工商管理学院、(9)天津大学管理学院、(10)上海交通大学安泰管理学院となっている。

中国のある調査会社が行ったMBA賃金水準調査によれば、中国のMBA取得者の年収水準は10000元から256109元の間にあり、平均年収は88655元である。また、彼らがMBA学位取得する前の平均年収は37227元である。

同調査は、現在、中国MBA取得者全体の賃金水準はまだ比較的低いとみている。たとえば、2000年におけるMBA取得者の平均月収は4000元以上、5000元以下であり、平均月収を地域別にみると、香港5350元、北京3750元、上海4000元となっている。ただし、その中には、例外もあり、北京大学国際MBAコース初代卒業生のうち、卒業前にすでに年収83万元のポストの内定を獲得した者がおり、十数名の卒業生全員は、多国籍企業、大手国有企業やIT企業に採用され、平均年収は23万元にも達した。上海中欧国際工商学院の2001年卒業生も似たような状況であり、卒業生の半分は年収10万元の仕事を見つけ、管理経験のある者には年収20~30万元の仕事を見つけた者もいる。

全体的に国産MBAの賃金水準は依然として月収3000~5000元のレベルにとどまっており、欧米におけるMBA取得者の初任給とは約10倍の格差が開いている。それに比べて、海外留学を経て帰国した者や外国籍のMBA取得者は、外資系企業に採用されるケースが多く、年収も20~50万元のレベルに達している。一部欧米名門校MBA出身者でCEOを勤めている人は、年収が80~100万元にも達している。こうした欧米MBAコースと共同事業を行っている国産MBAに対する市場評価も 高く、年収は10~30万元に達している。特に優秀な人材の場合、年収50万元のケースもある。

WTO加盟後、MBA取得者の需要も大きく、中国のMBA取得者の賃金水準はさらに上昇すると思われている。

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