多国籍企業が省内一流大学卒業生の取り組みを競争(広東省)

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

中国政府教育部は、2001年11月20日に、企業が直接大学に出向き卒業予定者の募集活動を行うことを許可する規定を発表した。それをうけて広東省進出の大手多国籍企業は、2002年夏の大学の卒業シーズンに遠いにもかかわらず、すでに省内有名大学生の取り込みを始めた。

中山大学、華南理工大学などのキャンパスでは、香港上海バンク、モビール石油、コルゲート、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、アムウェイなど大手多国籍企業の説明会が相次ぎ開催されて、そのスケジュールは年末まで詰まっている。中山大学での説明会の開催を決めた企業をみると、ロイヤルダッチ・シェルグループ、ホンダ、ウォルマート、ロレアルなどの大手企業が名を連ねている。

より良い人材を集めるために、一部の多国籍企業は、伝統的な面接方式も変えた。たとえば、P&Gは各大学から学生のプロファイルを集めるこれまでの方法を変更し、大学側に会社が提示した条件を満たした学生を推薦してもらい、その中から、会社にとって適切な人材を選んでいる。P&Gによれば、こういった集団活動の中においてこそ、学生の能力がより正確に現れるからである。

学生も、多国籍企業の説明会に大きな興味を示している。卒業を控える学生は、自分の履歴書をもちながらいろいろな説明会を歩き回っている。2002年に卒業する学生の中で最も人気のある就職先は外資系企業(特に多国籍企業)であり、その次は、官庁、大手国有企業である。一部の多国籍企業は、わずか数人のポストしか募集していないにもかかわらず、数千部以上の履歴書が届けられている。

説明会に参加した学生のほとんどは、多国籍企業の最も大きな魅力は高給ではなく、個人や企業の将来性にあると考えている。彼らがあげた多国籍企業のメリットは、優れた人的資源管理ノウハウと脱「年功序列」的な人事システムである。

広東省大学当局側によれば、多国籍企業が大学の中に入って人材の囲い込みをはじめたことは、WTO加盟後の人材争奪戦の始まりを意味している、ということだ。多国籍企業は、今後、さらに現地化が進み、ローカルの人材に注目するようになると思われ、国有企業も人的資源においてますます大きな挑戦にさらされることとなる。

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