公共工事におけるワーク・ルールについて労組が勝訴

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

ブッシュ政権は2001年2月大統領令で、連邦予算からの補助を受けた公共工事入札前に、労組と工事日程、労働安全などを定めたプロジェクト労働協約を結ぶことを禁止した。それまでは、労組が存在しない会社が公共工事を落札した場合でも、労組と締結したプロジェクト労働協約が有効とされていた。5月にアメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)などの原告が同大統領令を不服として提訴していたが、連邦地裁は11月7日、この大統領令が、労組、連邦諸機関に認められた経済的武器(economic weapon)を奪うもので全国労働関係法(NLRA)および憲法に違反しているとの判決をだした。この判決により、メリーランド州は、ウッドロー・ウイルソン橋工事を請け負う会社に対し、同地域の相場となっている賃金を支払い、労組が合意したワーク・ルールに従うように義務づけることができる。ウッドロー・ウイルソン橋工事は、全国でも有数の大規模工事で、2006年に完成する予定である。メリーランド州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州などが判決を支持、一方、労組が存在しない建設会社などが連邦政府を支持している。

労組とその弁護士によると、この判決は、何十億ドルもの連邦政府の資金を用いて行われる、全国の橋、ダム、空港、高速道路の工事などの連邦プロジェクト契約に影響を与える可能性がある。AFL-CIOの建築・建設担当者は、判決を労組の勝利であると歓迎し、この判決は、労組とともに原告に加わり、2つの都市再開発計画でプロジェクト労働協約を実施しようとしているリッチモンド市の勝利でもあるとした。司法省は判決を不服とし上訴している。

その後、メリーランド州高速道路当局が連邦政府高速道路当局に、ウッドロー・ウイルソン橋工事入札者に対してプロジェクト労働協約を遵守した入札を行うことを義務づけるよう要請したが、連邦政府はこれを拒否し、結局、メリーランド州はプロジェクト労働協約なしで残りの工事を進めることになった。なお、メリーランド州知事は民主党員で、労組から強い支持を受けている。

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