航空安全法成立、手荷物検査係

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年2月

ブッシュ米大統領は2001年11月19日、空港や航空機における保安を強化する航空安全法案に署名し、同法が成立した。同時多発テロで明らかになった不備を改善するため、航空安全の責任を民間警備会社や航空会社から連邦政府に移し、同法施行後60日間以内に全ての預けられた手荷物の爆発物検査(現在は10%未満について実施)を行う、操縦室の扉を破られにくくする、旅客機に乗り込む航空警察官を増やすなどを定めている。

連邦職員にするかどうかで共和党と民主党が対立していた手荷物検査係については、1年間という僅かな期間に連邦政府が約2万8000人を採用、訓練し、連邦職員として全国400以上の空港に配置する。ただし地方空港は、はじめの1年間の移行期間後の2年間に、連邦政府所管の保安システムから脱退し、連邦政府監督下の民間企業運営の保安システムに切り替えるための許可を申し出ることができる。これとは別に、全米5空港では民間警備会社に委託し、成果を比べることになった。

同法のために、現在、民間企業で働いている手荷物検査係は、将来、雇用されるかどうか予想しにくくなった。連邦政府の手荷物検査係に応募することができるが、現在よりも厳しい基準を満たさなければならない。検査業務を担当している民間企業経営陣は、検査係の多くが、検査係として働く意欲を失い、他の職を探すのではないかと考えている。また、多くの検査係は米国市民ではなく、新システムの下では検査係になることができない。

2万8000人の手荷物検査係は、運輸省内の新たな局が所管するが、フルタイムの責任者がおらず、履歴書を受け付ける場所などは、立法後1週間経った11月27日になっても未定である。ミネタ運輸長官は、設備、人員などが不足しており、2002年1月中旬までに全ての空港手荷物の爆発物検査を行うという予定は、現実的でないと述べた。これを批判した議員に対し、運輸省スポークスマンは、同法が認めている暫定措置を用いて期日までに目標達成するよう努力するとしている。

関連情報