(香港特別行政区)リストラと専門技術者の導入が同時進行
―香港の有力企業

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

香港最有力企業の一つパシフィック・センチュリー・サイバーワークス(pccW)が2001年7月4日、従業員290人の解雇と50人の配属変更を発表した。PCCWはケーブル&ワイアーレス香港テレコムを2000年2月に買収して以来(本誌2000年5月号参照)、総帥のリチヤード・リー氏はリストラに対して慎重な行動を取ることを表明していたが、ここに来て思い切った人員削減に踏み出した。

リー氏は、PCCWと旧ケーブル&ワイアレスには人事で重複する部署が多く、特に後者の構造は非常に官僚機構的で、人員削減はこのような重複改善にも役立つとしている。今回解雇されるのは主にネットの編集スタッフで、PCCWはこれによって約12億ドルの経費を削減できる とされているが、リー氏は今後さらに人員削減を行う可能性を否定しておらず、PCCW従業員総連合は、「会社側は多くの情報を隠しており、さらに解雇がなされる可能性が大きい」と懸念を表明している。

香港ではこのところ有力企業の人員削減が続いており、6月20日には中堅スーパーのグアンナン(KK)・スーパー・ストアが店仕舞いして522人が職を失い(本誌2001年9月号参照)、7月1日にはクウォーン・チュン・バス会社が500人の運転手を解雇し、7月3日には下着メーカー「トライアンフ」が400人を解雇している。

他方、「中国本土からの専門技術者導入計画」(本誌2001年7月号参照)による専門技術者の導入が進められており、2001年6月に実施に移されてから、既に70人の応募があり、このうち工丁技術者3人を含む8人が採用されている。

また、7月4日には広州市で職業見本市が開催されたが、九竜・広東鉄道会社を初めとして40の香港有力企業が求人コーナーを設け、中国全土から3000人のIT技術者と金融専門家が参加して香港での就業の機会を窺った。参加資格は大卒以上だが、共同主健者の国営「南部人析市場」によると、銀行幹部や大学教授も香港でのビジネスチャンスに興味を示しているという。

このように、香港の有力企業のリストラが進む一方、専門技術者の導入が同時進行している状況で、香港立法会の人材関連委員会で7月4日、議員から専門技術者導入計画の推進により地元住民の就業機会が奪われる危険について懸念が表明されたが、これは曳在の香港の社会構造の一面を適切にとらえたものと言えよう。

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