人材が私営企業に流入

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

これまで中国では人材が外資系企業を目指して流動するのが常であった。しかし、最近、このような状況に変化が生じ始め、私営企業に職を求めることが静かなブームとなっている。上海市が実施した求職者満足度調査によると、国有企業就職者の11%、集団所有制企業就職者の25%、外資系企業就職者の20%が満足しているのに対して、株式企業や私営企業の就業者の80%が満足しており、私営企業は求職者にとって理想的な就職先となりつつある。

私営企業は創業当初、家族経営の形態を取るのが多かった。このような家族経営体制は、かつては人材導入の壁となっていた。しかし、改革開放がスタートして20年が過ぎた現在、多くの私営企業は家族経営から脱皮し、近代的な企業へと変身し、繊維や食品加工などの伝統産業のみでなく、電子、通信、ソフト開発、バイオテクノロジー等の新興産業にも進出している。

私営企業の中では、かつて「労働法」に定めた労働条件を満たさない企業は多かったが、今は、賃金や福利厚生などの労働条件で国有企業や外資企業を上回る私営企業も現れている。特に、国有企業ではかつてのような雇用安定の魅力が低下し、外資系企業の収入も低減する中、私営企業が人材の勧誘に力を入れ、人材を引き付けるようになった。

南京市で開催された私営企業の面接会では、多くの私営企業は10万元から50万元までの年収を打ち出し、高級エンジニア、経営管理人材、博士号や修士号をもつ技術者や管理者を求めた。蘇州市の調査統計によれば、2000年末までに全市で9887社の私営企業が、12万人の労働者と労働契約を締結し、1317社の私営企業が従業員のための社会保険手続きを履行し、保険金納付を果たした。中国政府は私営企業の発展を促進する政策を取っており、今後、さらに多くの人材が私営企業に流れていくことも予想できよう。

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