(香港特別行政区)失業率、17カ月ぶりに上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年6月

香港では景気の回復と共に失業率の低下が続いていたが、人口統計局が2001年3月19日に発表した統計によると、2000年12月ー2001年2月期の失業率は4.5%で、前期(2000年11月~2001年1月)比で0.2ポイント上昇し、失業者数は14万9000人で、前期比で5000人増加した。失業率の上昇を記録したのは1999年9月以来17カ月ぶりで、この時は6.0%から6.1%の上昇だった。不完全雇用率は2.5%で、前期の2.7%から0.2ポイント低下した。また、就業者数は僅かに増加し、前期の342万1300人から342万6000人になった。

失業の増加は特に建設部門で見られ、この他、卸売業、小売業、飲食業、運輸業等の部門で増加し、通信部門では状況の改善が見られた。

政府スポークスマンによると、失業率が僅かに上昇したのは季節的要因に負うところが大きく、例年同様、春節後に建設、運輸、飲食の諸部門で労働力の需要が減少したことに起因すると述べている。

これに対して、立法会議員のリー・チュク・ヤン職工会連盟(CTU)事務局長は、今回の失業率の上昇について、アジア経済危機の間かろうじて職に止まり、また最近ようやく職に就いた労働者に警戒感を呼びかけている。同氏は、多くの香港企業が依然としてリストラを行い、活動拠点を中国本土に移そうとしていることを指摘して、楽観視を戒めている。また同氏は、政府が今年度の住宅所有計画(HOS)による住宅建設を縮小すると決定したことが、建設部門の労働需要の減少につながったことも大きいと述べている。

このような失業の若干の増大にもかかわらず、香港人材管理研究所の調査によると、ここ何年か続いた企業の賃金凍結の動きは終息に向かっている。

同研究所が102の主要企業を調査した結果、2001年1月の雇用者の賃上げは平均2~3%だった。54企業(雇用者6万1000人)で1月に賃金の見直しが行われ、いずれも賃上げを決定した。昨年1月の調査では、約半分の企業が賃金凍結で、残りの企業も僅かの賃上げしか行わず、平均賃上げ率は0.5%だったのとは異なっている。同研究所は、米国経済の後退との関係で香港の景気に先行き不安はあるが、1月の調査はその年の基準を形成するので、今年度は4月若しくは7月に賃金見直しを行う他の企業も、この基準に沿って賃上げするだろうとしている。

関連情報