フォード社従業員、業績評価における年齢差別で提訴

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年5月

フォード社のホワイトカラー労働者9人が、同社の新たな人事評価制度によって、高年齢従業員が差別されているとし、ミシガン州ウェイン郡巡回裁判所に提訴した。問題とされた人事評価制度は、ジャック・ナッサー最高経営責任者(CEO)が、フォード社の社風を一新するために、2000年初めに導入した能力主義の評価制度である。新評価制度は、世界中のホワイトカラー1万8000人を対象とし、2000年には、その10%がA、80%がB、そして10%がC評価を受けた(2001年には、A10%、B85%、C5%と改められた)。同社によれば、C評価を受けた従業員は、昇給や特別賞与を受けることができず、2年連続してC評価を受けると、降格されたり、退社を求められることもある。訴えた9人は、高年齢従業員がC評価を受けることが多いと主張し、損害賠償や、より客観的な評価を求めている。

フォード社広報担当のエド・ミラー氏は、この年齢差別訴訟への言及を避けたものの新評価制度で、高年齢管理職やエンジニアが不利な扱いをされていないと述べ、フォード社が新CEOのもとで、人種、性別、年齢などの多様性を持った会社になるように努力していると語る。しかし、原告側弁護士のスー・エレン・アイゼンバーグ氏は、「私たちは、新評価制度が、年齢に基づいて人員削減を行う目的で、意図的に設計されたと信じている。フォード社は、高齢者が、新たな学習機会に積極的に取り組もうとせず、技能向上に時間がかかり、会社の変革に参画しようとしない、といった固定観念に基づいて従業員の人事評価を行っている」と語り、民族抹殺に喩えられるものだと主張している。今回の提訴は、人事評価制度を変えることにより、組織改革を進める上で、留意すべき点があることを示している。

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