労働争議の多発、日本投資家の投資意欲が減退傾向に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年4月

近年工業発展の著しい国々、特にベトナムやタイの実業界の繁栄に伴い、これらの国々に資本流出(キャピタル・アウトフロー)が進んでいることに触れ、インドネシア商工会議所アブリザル会頭は、実業界は投資のための安定を必要としている、と述べた。現在、国内の安定は、諸々の状況にきわめて敏感になっている。その理由は、平和の妨害、法的規制の一貫性のなさ、労働問題から地方自治に至るまで不穏な動きが多いことなど、様々な問題が発生しているからである。

同氏は、この問題に関する政府の真剣な対応を求めている。なぜならば、もしも抜本的な措置がとられず、東南アジア諸国連合の、自由市場の推進に関する努力が試みられない場合、2003年には、国内産業に大きなしっぺ返しがくることになるからである。また、すでに3600万人に達している失業者の数も次第に増加していくことになるであろう。

彼によれば、世界的な化粧用品メーカーであるプロクター&ギャンブル社もすでにインドネシアの製造施設から去り、ネットワークと個人流通だけを残して撤退した。「足元の軽い企業なので、かれらはすぐに隣国に移ってしまった」と語った。その結果、インドネシアは、国内労働者の雇用確保に役立つ投資増加の恩恵を享受することができないのである。

日系企業の対応

2001年2月1日に行われたアジア経済研究所の研究員とジャカルタ・ポスト紙との対談によると、同研究員はアジアの他の国々(たとえば、ベトナム、ラオス、バングラデシュそして特に中国など)でより労働環境のよい、しかも投資の優遇措置とより高い技能を持った国々から、日本企業への誘致という背景もあり、在インドネシアの日系企業は経営の現状維持はあっても、新しい投資に関しては状況を見守っているという状況であると語った。

また、同研究員は、今までインドネシア人労働者が労働者としての権利や要求が無視されてきたという歴史的な背景を理解しながらも、労使間での交渉の妥協がなされるべきであると語った。

在日本インドネシア大使も、もし現在の労働争議が解決されない場合には、新しい投資はおろか、現在の外資流入の維持も困難であろうと述べている。

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