Apindo、解雇・退職金に関する法案の取り下げ要求と労組の反応
インドネシア経営者協会(Apindo)は、企業内の解雇問題や退職一時金(pesangonv)、勤続年数評価報奨金(uang penghargaan masa kerja)、補償金(ganti rugi)の算定に関する労働大臣決定2000年第150号を早急に取り消すよう、インドネシア政府に対して要求した。今回の撤回要求は、この大臣決定が産業界にとって大きな打撃であるとの判断から行われたものである。
経営側の主張
上記の要求は、インドネシア経営者協会の労使問題・会員擁護担当部長であるハサヌディン・ラフマン氏によって1月26日、ジャカルタで発表された。
ラフマン氏によると、この大臣決定は経営者にとって不公平な内容であり、労使間の不協を煽る面を持つもので、この大臣決定を保持しようとする特定層の意志の反映でしかないとしている。
この大臣決定にはいくつかの法的不備がある。たとえば、この2000年第150号労働大臣決定の存在は、1966年第3号労働省規則の下に位置する法的効力しか持たない。
また、この大臣決定は、最高協議機関としての三者間全体協議会の場で討論されることなく発効した。「この大臣決定は、三者間協力全国組織の事務局の構想をもとに作られたもので、全国レベルの三者間協力全体会議を経ていない。そしてこの大臣決定の存在が、労働争議を激化させ、解雇多発の誘因の1つとなっている。また、この大臣決定は、労働者にのみ配慮して経営者側の都合を考慮していないということで、経営者側に拒否され、事業意欲を削ぐものと受け取られている。しかし一方では、労働省は一方的に普及活動を続けて、労働者デモを引き起こす原因をつくる結果となっている」と同氏は語った。
一方、インドネシア経営者協会会長のジュマント氏(Djumanto)によると、発注元の信頼を失わないように国内の企業は止むなく工場海外移転や分散を進めている、という。ましてや、絶え間ない労働者デモは生産性に影響を与え、納期に遅れを生じさせている。「こんな状態になれば、最終的に経営者は損害を被ることになる。損害の拡大をとどめるために、経営者は海外への工場移転や事業所分散を余儀なくされている」という。
労働者が抵抗運動を行ったり各自の意見を述べたりすることに経営者は異議はない。しかし、それは現行の規定や規則に則った方法で行わなければならない、とジュマント氏は続ける。
福利厚生の改善を勝ち取るための労働者の示威行動やストライキは、最近では常軌を逸している、ともいう。1957年第22号労働争議に関する法律や1998年第9号言論の自由に関する法律に、彼らはもう敬意を払っていない、ともいう。
労働組合側の主張
一方、ジャカルタにあるインドネシア労働組合連合(Aspek)は、経営者の要求は公正でなく、客観性に欠け、現場の現実を把握する鋭敏さが足りないと主張している。
インドネシア労働組合連合中央執行委員会会長のインドラチャハヤ(Indratjahja)および事務局長のサエプル・タフィプ(Saepul Tavip)両氏は、署名入りプレスリリースの中で、一部の経営者が事業所を分散したり工場を海外へ移転したりしようとする現象の責任を、労働問題に嫁すことはできない、と述べている。
インドネシア労働組合連合会の意見では、インドネシアに投資しようとする投資家の危惧は、治安面・政治面の安定や法の不整備、蔓延する KKN(癒着・汚職・縁故主義)、国家経済の回復や構造改革の遅れに起因している、という。
国内に留まる意志を持ち、労働者との問題を抱えていない投資家の数に比べれば、事業所を分散したり工場を海外移転したりする企業は非常に少ない。多くの投資家は、依然としてインドネシアを利益を約束する国として見込んでいる。
また、社会情報網・法律指導財団(Sisbikun)のアントニ・シロ氏は、労働者は誰もが憲法や人権に関する国際法で認められ保証される権利を有している、と述べている。
労働者として労働するのは生活のためであり、労働者は人間として尊厳ある生活を営む権利を有する。労働者の権利を充足する義務を経営者が果たせば、労働不安はおのずからなくなるはずだ、と語った。
結果的として損害を被るのは国民で、公的サービスに支障が生じ、国民一般が利用する公的施設がデモ隊により閉鎖されることになる。公共道路の閉鎖や企業の事務所閉鎖、企業経営者や社員の誘拐、生産設備の破壊など、被害者は一般国民なのである。
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