「労働市場管理規定」が公表される
中国では、国有企業のリストラあるいは農村出稼ぎ労働者の大量流入によって、都市部では労働力の供給が需要を大きく上回っている。このような状況をうけ、職業斡旋組織が多数生まれている。1999年末まで、全国では登録済みの職業斡旋機関が3万カ所あり、1999年だけで1500万人の下崗(リストラ)や失業労働者に職業斡旋サービスを行った。しかし、職業斡旋業の中には高額な斡旋費用を顧客から受け取り、極端な場合には詐欺まで行う企業が現われている。1999年、全国で4000社余の職業斡旋組織が違法経営のため取締りを受け、500社余が経営許可の取消処分をうけた。
上海、北京、広州、陜西、天津などの地域では、1994年から、相次いで労働市場管理の規定や条例を打ち出している。2000年11月までに、全国24の省、50の都市で、当該地域の労働市場管理の法・制度を設けている。各地域の動きを統一するために、2000年12月に、労働社会保障部は全国規模ではじめての「労働市場管理規定」を公表した。
今回の「労働市場管理規定」は、各地域のこれまでの労働市場管理の経験を総括し、特に労働者の技能向上を重視した。「規定」は、労働者が就業前に必要な職業訓練をうけなければならないと義務づけている。今後、中国では、高卒後、まず国家が決めた職業資格を取得し、その後職業につくということになる。2000年6月に、労働社会保障部は、90の技術職について、就業前に必ず職業資格を取得することを決めている。全国では、すでに2500万人がそれぞれの職業資格を取得しており、今後、毎年、新たに約300万人が職業資格を取得する。「労働市場管理規定」は、これらの職業資格取得者の就職を優先すると決めている。
労働市場の秩序を守るために、「労働市場管理規定」は、さらに、職業斡旋組織が虚偽情報の提供や、採用費用や保証金などの受け取り、あるいは個人書類の差し押さえ禁止などの内容を盛り込んでいる。
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