Verdi参加5労組と産別労組、協約交渉権限で妥協

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

Verdi設立に際して生ずる賃金協約交渉権限をめぐる他の産別労組との争いは、2000年10月を通して厳しい論議が交わされたが(本誌2001年1月号参照)、ドイツのすべての労組委員長が参加した10月31日のベルリンの緊急特別会議で、産別労組側の主張を主に通す形で妥協が成立し、合意に達した。

この合意によると、各産業部門に属するドイツ職員組合(DAG)の組合員は Verdi設立に際しては Verdiに属するが、この職員層の利益を代表して賃金協約交渉を行うのは従来の各産別労組ということになる。これにより、従来からすでに成立している産業部門での労働協約締結権限は、Verdiに認められないことになった。ただ、職員層はその他の面では、Verdi所属組合員としての地位に基づく権利義務を行使し得ることになる。

この他、通信・情報技術部門での Verdiと他の産別労組の権限を定める規則についても合意に達した。この問題は複数の産業部門で活動するコンツェルンで、産別労組の利益代表が競合する場合に問題になってきたが、過去においては、特に通信・情報技術部門で、利益代表の境界が不明確で、Verdi参加労組と他の産別労組は、個々の産業部門やコンツ ェルン内部で厳しく競争してきた。例えば、携帯電話会社では、郵便労組(DPG)、 IGメタル、 IG化学(IGBCE)が競合してきた。ベルリンの合意ではこの調整を定め、各事業所で各産別労組が単独で従業員の利益代表をすることになり、「1事業所、1労組」の原則の強化が図られた。また、新たに事業所を設立する場合には、原則として該当する産別労組間の話し合いで調整し、 調整が不備の場合には、最終的には労働総同盟(DGB)が調停にあたることになった。

この合意について、ライプチヒの O¨TV大会で、DGB傘下のすべての産別労組代表が調印を予定していたが、O¨TVの委員長交替劇に発展するまでの紛糾があり(・参照)、全産別労組代表の調印は延期されることになった。

団体協約がない場合、使用者が真剣かつ誠実に交渉を行ったのであれば、労働監督官の認可を受けた後で、労働者を深夜勤務に割り当てることができる。

深夜労働が「緊急的な家庭の責務」(育児や介護)と両立できない場合、労働者は日勤へ復帰することができる。同じ理由で、労働者は深夜労働を拒否することができるが、その拒否を労働者の過失や解雇理由とすることはできない。また、日勤職への移行を望む夜勤労働者、あるいは夜勤職への移行を望む日勤労働者には雇用の優先権がある。妊娠中もしくは出産後の女性は、申し出があれば、妊娠期間および法定生後休暇期間の間、日勤職への配属が可能である。

特別な医学的監視制度が実施され(少なくとも6カ月おき)、夜勤の編成や変更については産業医へ相談しなければならない。

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