ほとんどの週35時間制導入企業は賃金を引き下げず

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年2月

11月15日に発表された雇用省調査統計局(DARES)の調査結果によると、週35時間制を導入した企業のほとんど全部が従業員の報酬を維持している。この調査の対象となったのは、1998年6月から2000年7月までに国と補助金協定を締結した2万3000企業を含め、週35時間制へ移行した3万9500企業である。この期間に、140万人の労働者が労働時間を短縮し、11万5000人の雇用が創出もしくは維持された。

92%をやや上回る企業では、時短によって直ちに賃金引き下げが行われることはない。 部分的補償を実施する企業は4%だけで、ほとんどどの企業も補償を行わないとは定めていない。しかし、大半の労働者は賃金の凍結(約半数)もしくは賃上げ抑制(4分の1)を経験している。賃金凍結が定められている場合、その平均期間は26カ月で、単なる賃上げ抑制の場合の30カ月よりも期間が短い。

補償方法は、時短と引き替えの時間賃金の引き上げ(48.8%)と時短に特定的な補償手当(47.9%)のいずれかに分かれる。既存の手当の引き上げもしくは引き下げ、従業員貯蓄制度の実施など、その他の方法は例外的にしか実施されていない。所得が維持される場合には、時間賃金の引き上げが重視されている。部分的補償が行われる場合や最近締結された協約では、差額手当が多く見られる。差額手当の対象となる労働者の割合は1999年6月に39%だったが、2000年6月には60%となった。

2001年2月 フランスの記事一覧