外国人高技能技術者の大量国内流入の恐れ
ASEAN自由貿易地域(AFTA)が2003年から開始され、資本と労働の移動に関して加盟国内での規制が緩和されることから、外国人技術者がインドネシア国内に大量流入してくる恐れがあることを、パヤマン労働・移住省上級アドバイザーが警告している。
パヤマン氏は、ケルタネガラ大学で開催された「AFTA実施に向けてのインドネシアの人的資本と教育に関するセミナー」において、インドネシアでは労働者の技能が非常に低いために、外国人の高技能技術者の大量流入は十分に考えられると語った。そして、インドネシアの義務教育が6年半であることにも問題があるとし、他のアジア諸国にならい、少なくとも10~12年の義務教育が必要であると述べている。
このセミナーに同じく参加していた、SBSI(インドネシア福祉労働組合)のパクパハン議長も、外国人労働者の大量流入が国内の失業率を高めることになることは確実であろうと述べている。ジャカルタ教師訓練研究所(IKIP ジャカルタ)のウィナルノ前校長は、インドネシア労働者の技術と知識が十分でないのは、腐敗した教育システムと、質の低い教師、時代遅れのカリキュラムなどが原因であると分析している。そして初等教育から大学教育までのカリキュラムでは、就職に必要な技能を身につける機会が与えられず、その結果、何十年もの間大卒の失業者が何千人も存在するという事態が起きているのだ、と説明した。また、教師の質も全体的に低下傾向であることも指摘している。
人的資本指標(human resource index)によれば、インドネシアは174カ国中105位、失業者数も2億人の人口のうち3600万から3700万人に上るといわれている。2000年6月30日付の『』アジア・ウィーク』によると、アジアの大学ランキングでインドネシアは、最高がインドネシア大学で61位、ガジャマダ大学が68位、ディポネゴロ大学は73位となっている。
一方、セミナーのコメンテーターとして参加した採用側の実業家らは、学生の英語能力の低さや、コンピューターに対する知識と技術の不足も挙げ、AFTAが実施されるまでの2年間では、他の東南アジア諸国の技術水準に達することはできないと危機感を募らせている。
2000年11月 インドネシアの記事一覧
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