5年以内に「下崗」から失業保険へ移行
2000年8月20日、北京で開催された中国発展フォーラム・社会保障体制改革国際シンポジウムの席上で、労働社会保障部の林用三副部長は、現在の国有企業の下崗(一時帰休)を、5年間かけて失業保険へと移行させる計画を明らかにした。
中国は1980年代に、すでに失業保険制度を発足させている。さらに1999年に、国務院は「失業保険条例」を公布し、失業保険の法的枠組みを確立した。その一方、近年の失業者の急増や労働者の生活水準低下に対処するために、国有企業改革によって排出された数多くの余剰労働者に対しては、新たな就職先が見つかるまでの間、企業との雇用関係を解除せずに、再就職センターに転出させる、いわゆる下崗制度が導入されている。つまり結果的に、現状では、失業保険と下崗制度が並存している。林副部長が取り上げた数字によると、2000年6月まで、全国の失業保険加入者は9930万人であり、失業保険金受給者は128万人である。それに対して、全国の再就職サービスセンターはおよそ12万カ所あり、1998年まで1200万人の下崗労働者が再就職を果たした。2000年6月現在のセンター在籍の下崗労働者は600万人余りである。
林副部長は、政府労働政策の最終目標が、雇用と就業の市場化メカニズムの実現、および下崗の失業保険への移行にあると指摘した。労働行政部門は、失業保険への全面的な移行が3つのステップを経て逐次に実現すると見ている。まず、現在の再就職サービスセンターを継続させ、リストラ労働者の基本生活を保障する。それと同時に、次第に増加する失業者に対して、滞りなく失業保険金を満額支給し、また再就職の斡旋を積極的に展開し、失業保険への移行の準備を整える。次のステップとして、計画経済時代の名残りである国有企業余剰労働者の問題がほぼ解決され、社会保障システムが確立、十分な保険金給付能力や資金供給ルートが確保された段階で、企業のリストラ労働者の下崗を中止、企業との雇用契約を解除してそのまま失業保険給付者として労働市場に入り、新たな就職先を探す。この時期においては、それ以前に再就職サービスセンターに入った労働者は、3年間の期限満了まで、下崗労働者としての身分を継続する。3番目のステップとして、すべての下崗労働者が期限満了になった時点で、企業の再就職サービスセンターはその使命を終了し、下崗制度がなくなり、失業保険制度のみ存続する。林副部長は、最終的に失業制度に移行するまでおよそ5年かかると見ているが、沿海地域では、すでに移行が始まり、より早い時期に完了するとも指摘した。
広州市の労働社会保障局長は、広州市では就業の市場化がより進んでおり、企業のリストラ労働者が直接労働市場に入る条件がすでに成熟しているため、下崗制度はこれから徐々に消えていくと宣言した。
広州市では、1998年末まで、すでに221の就業斡旋サービス機関が設立されており、そのうち、市や区の役所などの労働行政部門によって設立されたのが72カ所、民間によって経営されているのが149カ所である。2000年5月、「広州市労働市場管理条例」が広東省の人民代表大会(議会)で採択され、実行に移された。企業と労働者の間の契約解除などは、すべて法律に基づき市場メカニズムにしたがって行われるようになり、企業の再就職サービスセンターはすでにその役割を終え、下崗制度は今後次第になくなると思われている。広州市では、今後、労働行政の役割は法律遵守の監督に移りつつある。
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