労働運動の暴力化
―使用者側が警告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

2000年5月6日、バンドンにあるパラヒャンガンキリスト教大学での講演会で、インドネシア経営者協会のソフヤン会長は、ジャカルタと西ジャワにある少なくとも20の外資系製造業者が、労働者のデモによってインドネシアから撤退する可能性があることを明らかにした。20社とは韓国系資本の企業で、ジャカルタにある13社、西ジャワのケラワンにある7社である。韓国企業の使用者は、ワヒド大統領と会談し、インドネシアでの安全な操業のための保障を訴える予定である。使用者側は、労働者の度重なるデモによって操業が妨害されており、今後政治的な安定性が望めないと見越した場合には、撤退もありうると述べている。

また、日本企業もアイワやソニーなどが従業員の抗議活動で操業を妨害されている。

ソフヤン会長は、電気製品の輸出は、政府の主要収入源の1つであることにふれ、この問題に対する政府の対応が不十分であることを残念だとし、このままの状況では、外資系企業の多くが撤退する可能性もあることを示唆した。

また、労働者の怒りが投資家の利潤に対する不透明性に向けられていることから、投資家または使用者側が、企業の貸借対照表を公開することの大切さを強調した。

同様に、インドネシア経営者連盟(Apindo)も、インドネシアのビジネスに影響を与えるような暴力的なストライキが増加していることに強い懸念を示した。

Apindoのウィリー会計局次長は、暴力的なストライキが多発し、法的な安定性が欠如しているために、相当の数の外国資本家(シンガポール、香港、日本、韓国など)がインドネシアへの投資を見送っていることを指摘した。彼は、タンゲランで起きた工場放火事件や、国会前での暴力的な労働ストライキ、東ジャワのスラバヤで起きたビジネスマンへの暴力などの最近の労働運動の例を挙げ、政府が労使関係の改善や労働者の安全保障についての法律の強化に失敗している点を指摘した。また、ほとんどの従業員が、労働運動を行う際に法的な手続きに従って行わなければならないことを知らない現実に言及し、現状の改善を訴えた。

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