縫製業・製靴業の雇用不安

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

インドネシア・テキスタイル協会(API)に参加する西ジャワの約200のテキスタイル企業が、閉鎖の危機に立たされている。

政府は、国営企業の電気会社(PLN)の13兆7000億ルピア(100ルピア=1.22円)(18億3000万米ドル)の赤字を減少させるために、2000年4月から平均29.4%、産業用の電力については54~70%の引き上げを実施した。PLN側は、政府が決定したことは変更できないと述べている。

この値上げには鉄鋼産業もテキスタイル関連産業も反対しており、API西ジャワ支局のメンバーとPLNとの交渉が妥協点に達しなかった。API側としては、電気料金の20%の料金値上げから、6カ月間に16%引き上げという段階的な料金値上げを提案していた。というのも、最低賃金が2000年4月から引き上げられたり、ドルに対してルピアの価値が下がってきていることが、企業経営の悪化を招いているためである。

輸出志向型のテキスタイル企業、PTヒマラヤ・バンドン・フセン・ルマンタの会長は、もし政府が政令を撤回しなければ、この3カ月から6カ月の間に約5000人の従業員が解雇されるであろうと述べた。

インドネシア製靴業協会(Asprisindo)も、雇用不安の危機にさらされている。

ジャカルタ周辺地域と東ジャワ地域にある労働集約的な製靴業者は、この3カ月間でジャカルタ、スラバヤ、メダン、北スマトラ等の地域では、約80万足の靴やサンダルが中国などから違法に輸入され、低価格の靴が大量に流入してきているために、生産量の抑制を余儀なくされている。その結果、従業員の解雇が相次いでおり、製靴業に悪影響を及ぼすだけでなく、失業問題を悪化させることにもつながるとして警戒されている。

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