製靴業の化学物質に苦しむ労働者

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

1999年12月上旬、多くの製靴業(ベトナム第三の外貨獲得源で、30万人の同産業労働者のうち80~85%が若い女性)で労働者が危険な化学物質にさらされていると保健省が警告した。同省の調査によると、多くの製靴工場で化学物質による労働者の健康への影響について殆ど全ての基準が破られている。これらの労働者の8割が農村部出身で、教育水準が低く、化学物質の危険について全く知識が無い。そのため安全な化学物質の水準の何百倍もの化学物質が検出される職場でも、労働者や工場現場の管理者が安全措置を求める例は少ない。生産機械の多くは中古の機械で、陳腐化した技術に留まっている。さらに環境衛生に気を配る余裕のある企業は少ない。

保健省は、労働者が職場の危険物質について十分に知らされるべきだとしている。労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)職員も、製靴工場での労働が全産業の平均的な労働時間よりも長時間であることから、化学物質の健康への影響を懸念している。ナイキやアディダスは、ベトナムで開かれたこの問題に関するワークショップで化学物質を安全なものに転換することなどを提案しているが、今後に残された課題は多い。

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