女性の学力が高い

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

ブラジル地理統計資料院の資料を元に、サンパウロ州政府のデータ処理財団が1985年と1997年のデータからサンパウロ首都圏の女性労働力を比較したところ、失業率が高い時期ほどあらゆる部門で、女性労働力に有利となっていることが判明した。従来女性が少なかった金属工業でも同様である。奇異に見えるが、雇用提供が少なく、技術革新が激しい、専門家としての訓練を要求される時期に女性の就労が増加している。伝統的に男性のように進学しないブラジル女性像のイメージと異なり女性の方が学力が高いことが、近代労働市場で女性を有利にしている。例えば就労人口の女性の42%は中等科12年卒業だが、男性は34%となっている。学歴優先社会となってから進学意欲は高まり、就労人口の中等科卒は1998年に前年比で女性は2.7%増、男性は1.3%増となった。女性の学力が高いことに対して、分析担当者は、家庭の収入増加を少年時代から手伝う率は女子よりも男子が大きいことや、女子は学校の規定に従順で、通学率が高いことを指摘している。中央労組フォルサ・シンジカルが労働省と協力して実施している無料の職業訓練では、これまで男性が多数を占めていた部門の中で情報、テレマーケティング、販売、語学など、体力がそれほど必要でない部門では、女性の受講者が男性を上回った。男性は訓練に時間を取られるよりも、その日の家族を支える収入を得る義務を負っている半面、女性は時間的にゆとりがあることも原因の一つだが、いずれにしても女性の学力は男性より高くなった。製造業の部門別就労人口に対する女性の参加率を1985年と1997年を比較して見ると、金属は8.52%から10.39%へ、食品は24.1%から35.61%、出版印刷は21.77%から32.04%へ、女性に不向きと見られていた機械工は8.21%から17.11%などとなっており、製造業平均では26.35%から28.13%となっている。

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