使用者側、ベア交渉に同意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

近年の労使交渉ではベアをゼロ、労働者に与えていた特恵は次第に削除して行く傾向であったが、1999年下半期からのベア交渉に同意する業種が出てきた。特に労組から労使交渉で最も強硬な相手と言われていた自動車部品工業協会のドラウジオ・ランジェル理事と、銀行連合会のマグヌス・アボストリコ理事の2人が、給与と特恵の凍結期は終わったと発表して労組関係者を安心させた。両人によると国内経済の低迷がもたらす社会状態を企業家は心配しており、全国の労働者全体の所得向上の手段について討議する用意があると労組に伝えている。また失業増加と労働者の収入減少に対応し、発展回復のために労使がパートナーとなる道に貢献したいとも漏らしている。経済安定計画以来、政府による低インフレ宣伝と無数の物価指数が、非常に違った傾向を示した結果ベア要求は混乱していた。しかし、1999年は政府自体がインフレを6~8%と予想してベア要求に一つの基準を設けた形になっており、さらに数年分のインフレに当たる公共料金の大幅値上げ、増税などの支出増加が家計を圧迫しているために、ベアに理解を示したと説明している。1998年は銀行の労使交渉が難航して9月の年間協約更新月が11月末日にようやく契約できたが、1999年は使用者側が理解を示しており、部品工業では11月が契約更新月であるが、労働者の家計の圧迫を考慮して繰り上げベアを交渉している。

銀行交渉をモデルに

中央労組CUTは、ベア交渉で有利に進みそうな銀行の交渉締結を待って、これをモデルに他の業種の交渉を進めようと計画している。1999年はこれまでと異なり、多くの業種でベアを獲得するチャンスが大きくなっており、例えば上半期に行なわれた建設部門の労使協定38件の内、63%は過去12カ月間の物価指数上昇率以上のベアを確保していると内国工業連合会が発表した。しかし銀行労組でさえも給与は確保しても、過去に獲得した特恵の回復交渉は容易ではないようである。

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