総選挙と労働政党の動き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

インドネシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:1999年8月

闘争民主党が躍進した6月7日の総選挙において、9400万人の労働者票は総選挙人口の大きな割合を占めていた。政府の48公認政党のうち、労働者の利害を代弁する政党は、インドネシア福祉労働組合(SBSI)の幹部で構成された国民労働党(PBN)、労働者連合党(PSP)、全インドネシア労働組合党(PSPSI)、インドネシア労働者党(PPI)の4つである。ちなみに、前政権では全インドネシア労働組合連盟(FSPSI)が唯一の労働政党であった。

経済危機後、各地で労働者のストライキが大規模に行われてきたが、企業が最後の存続手段として大量解雇を認めざるを得ないときに、政党が高い要求を企業に求めることは困難であった。それゆえ、労働政党は労働者の拠り所としての役割に徹することになった。また、従来であれば公務員連盟 korpri が組織していた様々な国営企業のプランテーション労働者にも政党はアプローチし始めた。

各政党の主張を以下に挙げる。

● 国民労働党(PBN)…北スマトラ、ランポン、西ジャワといった工業地帯に支持基盤

―多国籍企業に有利な開発政策に反対、失業を緩和するための労働集約的プログラムの促進

―最低賃金の200%上昇

● インドネシア労働者党(PPI)…フォーマルセクターの5000万人の労働者層をターゲットに

―労働者の権利と交渉権に関しての教育と訓練の強化

―現政権の打倒と労働紛争の軍事介入反対

―経済成長を促進する「資本・労働集約的」政策の促進

● 全インドネシア労働組合連盟(FSPSI)

―外国投資家に魅力的なように安価に設定された労働賃金政策の改善

―職場での差別の改善

―最低賃金の見直し

● ゴルカル党

―過去の失敗を踏まえ、経済回復のため、よりよい労働環境を作り出すことで労働政策を改善

―現行の賃金システムと労働者の権利の改善

● 開発統一党(PPP)

―新しい雇用の創出

FSPSI の代表は、パンチャシラ労使関係の理念と現在の最低賃金法に対する党の貢献から見て、ゴルカル党が労働者の支持を得るのは難しいとの見方を示している。

関連情報