一連のストライキに関して:APINDO のコメント

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

インドネシア経営者連盟(APINDO)の事務局長プルパディ・ハルヨプライトノ氏は、最近の一連のストライキに関して、「労働者の抵抗によって何日間も生産活動が停止したところもあり、企業は利潤を生み出すことができなかった。労働者の要求が、賃上げであれ、福祉の向上であれ、それを叶えることはできない」と述べている。その理由については「インドネシアの企業の多くは経済危機後、財政的な苦境に陥っており、労働者の要求している賃金水準を満たす経済的余裕はない」としている。

いくつかの企業では大量解雇を回避するために賃上げを認めざるを得ない状況になっているが、その結果、企業運営が一段と悪化している。また多くの工場では、原材料の輸入資金不足やストライキのために、60%のレベルでしか操業されていない。「企業のこのような財政的状況を労働者は理解するべき」とプルパディ氏は述べている。

また同氏は、一連のストライキによって外国人投資家からのインドネシアへの産業投資が減少していることや、最近のストライキは労働力省の定めた一定の基準に則って行われていないことも指摘している。例えば、労働力省のガイドラインによると、労働者は少なくとも1日前までに経営者側にストライキを行うことを通知しなくてはならない。数年前までは労働者は要求が満たされないとき、または交渉がうまく進行しないときにストライキを起こしていた。しかし、現在では経営者と要求事項を交渉し合うことなく、急いでストライキを起こしているようである。食品製造業 PT マヨラの賃金の30%アップを求めての1300人のストライキも、きちんと手順を踏んでいない例としてあげられている。このストライキは5日間続き、労働者は食事補助として1日当り4000ルピーと1500ルピーの手当てによって福祉の向上を求めていた。また、ストライキ参加の大部分を占める女性は、生理休暇を禁止する新しい会社の規則に反対していた。タンゲランで繰り広げられたこのストライキによって、数時間もの間交通渋滞が引き起こされた。

最終的に、会社側は18%の賃金アップと食事補助費至急という労働者側の要求を認めた。

プルパディ氏は、ストライキを防ぐために近い将来、経営者と従業員のよりよい関係を築いていくべきであると主張している。

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