限られた就職口に殺到する労働者

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年5月

タンゲランで失業者数が増加し続けている。タンゲラン市内では、経済危機以来、580社から推定4万5000人が解雇された。2月6日現在、毎日平均500人がタンゲラン労働力省事務所を訪れ、職探しをしている。今後も求職者は増加する見込みだが、経済危機に耐えた会社の数は限られている上、政治に多くの不確定要因があることから外国投資家の投資が停滞したままであり、新規雇用の伸びに期待できない。そればかりか、採用された人々の大部分は、雇用主の繁忙期の労働需要を満たすための短期雇用契約に署名しており、仕事が減るとすぐに解雇されている。

タンゲラン労働力省事務所のFarid Appand副所長は、多くの求職者の技能が不十分であることを懸念し、労働力省と企業が協力して開催している職業訓練制度への参加を呼びかけている。さらに、同副所長はタンゲラン市とタンゲラン県に失業者対象の労働集約的事業の拡充を提案している。

タンゲランに限らず、雇用情勢は厳しさを増している。ハビビ大統領が社長を務めていた航空機製造会社IPTNで人員削減が始まり、1万5750人の従業員を2001年までに1万500人に削減する。スラバヤでは、様々な企業で働く労働者2万人が昇給と手当増額を求めてデモに参加し、警察、軍部と衝突している。最も注目されるのは不良債権を抱える銀行業で、近く約3万人が一時解雇される計画があり、1998年6月に結成された銀行・金融業労働組合(Aspek Indonesia)は組合のない銀行での組合結成を呼びかけている。ファミ労相は一時解雇は経済再建のため止むを得ないが、銀行業労働者の権利が守られるように努力すると語った。

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